え!?車がエンスト?自力じゃ動けないよ〜〜〜


ナンシー派美術館を堪能したあとは、どこに出かけようか?と皆でわいわい盛り上がりましたが、

とりあえず街中に戻ろうかということになり、再び車に乗り込みました。

この時、なかなかエンジンがかからず、これからを暗示されるような出来事があったのですが、ナンシー派美術館の余韻と、

これからどこに行こうか!と興奮していたこともあったし、車がディーゼル車(一般乗用車なんですが、ヨーロッパではディーゼル車が多

いみたいなのです)だと話を聞いていたので、私は深く気にとめていなかったのです。

ゴールド免許を持っているといっても、しょせんペーパドライバーの私ですからね。

なかなかといいつつも2〜3度でエンジンがかかり快調に出発できたので、しばらくすると車の調子が悪かった事など、頭の中からすっ

ぽりと抜けておりました。

車中で取りとめもないお話をしていると、ガクン・ガクンと車が大きくノックしました。

「やっぱりおかしいよ、この車!ちょっと様子を見たほうがいいかも。」とSAP旦那様。

確かにノックするなんて、マニュアル車運転歴10年以上のSAP旦那様らしい運転ではありません。

とりあえずレンタカー屋さんに行って状況をお話してみることにしました。

なんといってもこれから2泊3日の長旅。交通手段に何かあったら、大変です。

途中、信号待ちから再発進をしようとすると、「プスン プルプルプルン」とエンジンがかかってくれない!何度やってもダメ。

何でこんなところで・・・

運の悪いことに私達は繁華街の中心にいたのです。しかもかなり大きな交差点の真中に!!

時間は、丁度帰宅ラッシュ時。それでなくとも軽い渋滞が、交差点のど真ん中で停車してしまった私達の車のために大混乱になってしま

ったのです。

エンジンは何度やってもかかってくれないし、このままここにいたら通行の邪魔だし・・・。

こうなったら力業でなんとかするしか仕方ありません。

運転手を残し、女性3人は「どっこいせ!」と車を押してなんとか路肩まで寄せるのに成功しました。

(親切なおじさまが手伝ってくれましたが・・・)

車を路肩に寄せて、一安心。寒いのに、額には汗がにじんでいました。

路肩に車を止め再度キーを回してみましたが、エンジンは一向にかかってくれる気配がありません。

レンタカー屋さんに連絡をしたのですが、アンラッキーな事に時間外のためつながらずサービスセンターへ連絡をしなければならなくなり

ました。

近くのカフェの公衆電話からSAP夫妻がサービスセンターへ連絡し,交渉の末、レッカー車がきてくれることになり、ちょっと安心です。

でも車から離れるわけにもいかず、私達はレッカー車が来るのを、ひたすら待ちつづけたのでした。

 

日が傾き始め、気温がどんどん下がってゆく中で、レッカー車が来るのを待ちつづけて約2時間。

帰宅ラッシュはますますひどくなり、道路はどんどん渋滞し始めました。

駐車禁止エリアの、しかも通行車のかなり邪魔な場所に車を止めている私達の車は明らかに邪魔です。

かといって、車を止めている先はなだらかな坂道になっているため、車を押して移動させるのはムリ!

本来ならレンタカーにも必ず積んであるはずの赤い三角の停止版は探してもなく、なんでこんなところに車が!という厳しい視線を私達

の車に向けられて、小心者の私は又もや汗をどっとかいてしまいました。

交差点に駐車してある車のせいで、迂回させて車を移動するため、道路は更に渋滞してゆきます。

「う〜ごめんなさい。ごめんなさい。ワザとじゃないの。車が動かないの。ごめんなさい〜〜!!」と小声で叫びつつ、「レッカー車、早く来

てくれ〜〜」と祈りつづけました。(たぶん皆心の中で叫んでいたと思います)

 

するとそこにパトカーがやってきて、私達の車を見てなにやら話しているのです。

そうですよね。駐車禁止エリアに駐車していて、しかも渋滞を引き起こしちゃっているんですから、無理もありません。でも、タイミングが

悪すぎます。

どうしよう!!ナンシーはフランス語圏内!SAP夫妻は英語とドイツ語はできるけれど、フランス語はい今イチなはず・・・。

あの警官たちがフランス語しか出来なかったらどうしよう!!なんて事情を話せばよいの!?

もちろん私は日本語Onlyだし。同行している友人の桃実もフランス語は少し話せますが、日常会話よりもお料理用語の方が詳しい程

度。脇の下から嫌な汗がでているのがわかりました。

パトカーから降りてきた警察官は手に違反切符台帳(?)らしき物を持って近づいてきます。

異国で交通違反を犯すとどうなっちゃうんだろう?罰金ってどうすればいいの?

どきどきどきどきどき。

でもSAP夫妻が英語で事情を話すと、納得してくれて違反切符も切らずにそのまま立ち去りました。

どきどきした割に、あまりにあっけなくて、へなへなとなってしまいました。

少し落ち着いてあたりを見回すと、どうやら帰宅時間を過ぎたらしく、道路の渋滞も少しづつ緩和されています。

一安心です。でもレッカー車は今だに来ません。

 

もしかして私達に気がつかないで通り過ぎてしまったのかもしれないわ!!

とそれらしき車が来ると、「ここにいます!」とアピールしたりして、緊張し通し。

宅配の肉屋?と思われる車をレッカー車と間違えて、何度も手を振ってしまいました。(笑)

怪しい人に見えただろうな・・・。

 

レッカー車を待っている間、長かったです。本当に。

本当に来るの!?レッカー車は!このまま来なかったらどうなっちゃうの??と心配がパニックになる頃、ようやく、やってきました!レッ

カー車。 黄色の車体を見たら、今まで張り詰めていた肩から力が抜けてゆきました。

 

レッカー車でやってきたお兄さんは、早速車の点検です。

停車中の車をいろいろと触った挙句、う〜ンよくわからない!という回答。

でも、ボンネットを開けてプラグを確認して何度かキーを回しているうちに奇跡的にエンジンがかかったのです。

すると「大丈夫みたいだから、自分はもう帰る!」というのです。

え〜〜〜!!!!!!!!!

私達だって何回も試してみたけれど、エンジンをかけてかからなかったんだよ。今はいいけれど、また止まっちゃうかもしれないのに!!

一同、「私達を見捨てないで〜」という熱い視線をお兄さんに送ったせいか、私達の車を先導してレンタカー屋さんまで来てもらうことにな

りました。

ところが信号待ちで待っていると、やはり「プスン」とエンジンが止まってしまって車は動かなくなってしまったのです。

ああ、お兄さんに帰ってもらわなくて本当に良かったわ!

今回のエンストでお兄さんも納得したらしく、私たちごと車をレッカー牽引してくれることになりました。

いや〜レッカーされた車で街を走るなんて、初めての経験です。

皆も緊張がほぐれたのか、牽引される車の中で大笑いです。

こんな経験するなんて!しかもフランスでだよ〜と大騒ぎ。

めったにない事だから、記念写真でも撮っちゃおうか?!と撮ったのが下の写真です。(笑)

ハラハラドキドキしたけれど、よい想い出になった事件でした。まあ、今だからいえるセリフですけれどね。

 

レッカーされる社内から撮った写真:写真が斜めなのは、牽引される車が斜めだからなんです。(笑)


Back | Next