2026年1月のミステリ 戻る

幽霊を信じない理系大学生、霊媒師のバイトをする 
2024年 柞刈湯葉著 338頁 新潮文庫
あらすじ
大学生の谷原豊は享年100歳の曾祖母のお悔やみにやって来た鵜沼ハルからバイトの勧誘を受ける。鵜沼ハルは霊媒師とか。
感想
『人間たちの話』『まず牛を球とします。』に続く柞刈湯葉(いすかりゆば)三作品目。
題名からオカルトかなと思ったけど、過去を発掘するミステリでありジュブナイル小説でもあり、いささか難解。微妙なニュアンスを文字にするのは難しいな。
作者は頭がとても良くてちょっと難しいひとなんだと思う。文章は上手です。
 
(ねたばれあるかもしれません)
思うに「情報」という分野は、手段はスマホ、PC、サーバ、ネットなどなどコンピュータ、ITという現代科学の粋やけど、扱っている元データは曖昧模糊、玉石混合、魑魅魍魎。
ひとの記憶自体あてにならないし、米国の陪審員裁判のドラマを見ていると「事実とか真実ってなんなん?」ってなる。
この膨大な情報の大海から精度の高いなにか「モノ」を作り出すのがAIの勝負所なんやろな。うん、この話の肝はAIだと思う(※個人の感想です)
「鵜沼ハルには、そういうことができた」というのは少ない情報から類推し、望み(結果)にたどり着けたことの様な気がする。
太古は石に文字を刻んだり、絵を書いたり、時代を経ると木片や紙や羊皮紙に残された歴史書やら日記やらは、近代になって新聞、小説、写真や映像で残るようになってきた。
現代はSNSで誰でも自分の経験やら思いを発信し残すことができる。宝の山ともゴミの山とも言えるけど。
本作には『人間たちの話』で期待した「コロナウィルス禍」もほんの少し使われていました。
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