2025年1月のミステリ 戻る

ミスター・メルセデス MR.MERCEDES
2014年 スティーブン・キング著 白石朗訳 上355頁 下352頁
あらすじ
寒い早朝、市民センターの前には仕事を求める人たちが列を作り開館を待っていた。
そこに鋼鉄の塊メルセデスベンツが突っ込み死者8名、負傷者多数の大惨事を引き起こす。
警察の懸命の捜査にも関わらず犯人は逃げ切る。
悲劇は続き盗まれたメルセデスの所有者は「鍵をかけ忘れたんじゃ」との嫌疑を警察からも世間からも受け自殺してしまう。
感想
スティーブン・キングが初めてミステリを書き、エドガー賞最優秀長編賞を受賞した作品だそうです。ドラマ化もされている様です。
退職刑事ビル・ホッジスは通称「メルセデスキラー」からの手紙(挑戦状)を受け取る。そして古巣の警察には内緒で捜査を再開する
という退職デカもの。
ひと昔前なら、銀行強盗には金庫破りや爆薬の専門家、スパイにはQの様なメカニックが必須やったけど私立探偵は身ひとつで捜査ができた。
必要なのは車くらい。まあ情報屋もいるかな。
ところが今は銀行強盗も警察も私立探偵も魔法使いの様なITの専門家が欠かせない。
警察なら組織力があって中には「ストーンサークルの殺人」の様に天才もいるやろうけど、いっかいの私立探偵やと、ハッカーを脅してとか金で釣って調達するのが定番。そこんとこ本作は”信じられないくらい”ユニークと思う。
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アレン警部登場 A MAN LAY DEAD 「君が死体だ」
1934年 ナイオ・マーシュ著 岩佐薫子訳 論創社 277頁
あらすじ
ヒューバート卿のフラントック館で週末を過ごす8人。殺人ゲームが楽しみ。
執事にブローチを渡された犯人役は、午後5時から11時の間に誰かとふたりっきりになった時に「君が死体だ」と肩をぽんする。被害者は倒れる。
そして犯人は電気のスイッチを落とし、銅鑼をゴーンと鳴らし犯人役以外は2分間動いてはならないというルールだ。
電気が消え銅鑼の音が鳴り響きわくわくした謎解きゲームが始まる、が被害者は本当に死んでいた。
感想
90年前の英国、警部は最後まで推理を明らかにせず(突然死されたら事件は迷宮入りになるんやなかろか)
容疑者7人を集めて謎解きを披露する大団円ミステリ、のみならず殺しを再演するという劇場型。
殺しの方法は、なんというか、、、まあ、、、私は面白かった。結構高得点です。
 
アレン警部が登場して、館をうろつきあれこれ容疑者から話を聞く。までが半分。
「後半分これが続くんやろか・・・」と思っていたら、捕り物に変わる。とっても良く言えば一粒で二つの味なの。
しかも容疑者のうちのひとりを捕り物の助手役というかおとりにするねん。
ぶっちゃけるとてっきりこの人が犯人かと思ってた。
(訳者あとがきによると、この助手役のひとは後の作品にたびたび出てくるらしい)
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