2021年2月のミステリ 戻る

ピエタとトランジ<完全版> 
講談社 285頁 藤野可織著 2020年
あらすじ
帯によると、
「岸本佐知子歓喜!
 これは、私がずっとずっと読みたいと思っていた、最強最高の女子バディ物語。」
親友の名前はトランジで、私はピエタ。人類最後の「名探偵と助手」だ。
感想
好きかと問われれば、あんまり好きやない作品ですが、
数年経ったら本の題名は忘れても「変わった話やったなー」と記憶に残ると思う。
 
ピエタとトランジは探偵事務所をしているけれど、謎は解かない。解いていると言うだけ。
依頼者の願いはかなうけれど「サルの手」のようになるわけで。ミステリではなく、どちらかとゆうとディストピアなSF。
女子バディ物語というと、桜庭一樹の「赤朽葉家の伝説」第二部「巨と虚の時代」の赤朽葉毛毬(あかくちば けまり)と穂積蝶子を思い出す。
破滅的なところが、本作とちょっと似てるかな。
森ちゃんに対するあまりの扱いに、「子供ってうまなあかんの。人類なんて滅亡してまえ〜」とゆーてはんのやないやろかと
思う。
 
作者によるとシャーロック・ホームズを下敷きにしていて、森ちゃんはモリアーティだそうです。
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ぼくとテスの秘密の七日間 
フレーベル館 253頁 アンナ・ウォルツ著 野坂悦子訳 2012年
あらすじ
10歳のサミュエルは夏休みに家族で訪れた北部の島テッセル島でひとつ年上の女の子テスと知り合う。
シングルマザーのでっかい看護師のママとふたり暮らしのテス。父親を知らないテスはママの秘密を探り当て、ネットを駆使して生物学上のパパを突き止め、あろうことかママに内緒で、パパとその恋人をテッセル島のコテージに抽選に当たったと偽装して誘い込む。テスが生まれたのを知らないパパが、自分にふさわしいパパなのか突きとめるために。
感想
WOWOWで映画「恐竜が教えてくれたこと」を見て原作がオランダの児童文学と知り、図書館で借りる。
ケストナーの「ふたりのロッテ」に似ているかな。
 
訳者あとがきに「にぎやかなストーリーのあいまに、「死」とは、「孤独」とは、「家族」とはなにかを懸命に考えるふたりの声が響きあい、内容を深いものにしています。」とあるねんけど。
 
私は、本作はおとなびた子供と子供のように無垢なおとなたちの話であり、児童文学子供の本というより、おとなに向かって「『こうあって欲しかった』というおとなの姿」を描いているように感じる(かつて子供やったおとなが書いているんやから、そうなんかも)
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我々は、みな孤独である 
角川春樹事務所 409頁 貴志祐介 2020年
あらすじ
茶畑徹朗探偵事務所は所員に金を持ち逃げされ青息吐息。家賃も滞っている。
そこにお得意様からもたらされた依頼は「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」というもの。
「はあ?」 (正気ですか)