2020年10月の映画  戻る


スパイの妻 WIFE OF A SPY
第77回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞(監督賞)
2019年 115分 日本
監督 黒沢清
出演 蒼井優(福原聡子)/高橋一生(福原優作)/坂東龍汰(優作の甥:竹下文雄)/東出昌大(津森泰治)
メモ 2020.10.24(土)なんばパークスシネマ
あらすじ
真珠湾攻撃の少し前、1940年の日本神戸で一見優雅に暮らす貿易商がいた。
感想
映画のしょっぱな蒼井優の話し方や所作から、小津安二郎監督の原節子さんが蒼井優に降臨したのかと思いました。
聡子と優作が見ている映画が、山中貞雄監督の「河内山宗俊」やったからその意図はあったのかな。
 
結局それは戦局にどう影響したの、とか最後にアナタハナゼナイテイルノデスカとかわからない。
監督さんの描きたかったことがわからない。
時代の嵐の中では個人の力は無力、ほんとに小さいという事なのかな。それともキネマへのオマージュなのか。
「華麗なる賭け」と思えて、あそこで終わってたら(FIN)よかったのにと思う。
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おかえり ただいま 
112分 日本 東海テレビ
メモ 2020.10.20(火)第七芸術劇場
 
2007年8月に起きた「名古屋闇サイト殺人事件」のドキュメンタリー映画。
前半は被害者の磯谷利恵(いそがいりえ)さんの小学生のころから事件が起こる直前までを再現したドラマ
出演は、理恵さん(佐津川愛美)、お母さん(斉藤由貴)、伯母さん(浅田美代子)、おばあちゃん(大空真弓)、恋人(須賀健太「人にやさしく」)
後半は事件後、被害者のお母さんたち遺族が加害者3人の死刑を求めて戦う姿を追うドキュメンタリー
おとなになった理恵さん(写真)はとても明朗そうな方だ。
遺族が戦う相手は「被害者がひとりでは死刑にしない」という前例主義の裁判。いわゆる「永山基準」
 
事件の起こりは携帯電話の闇サイト「闇の職業安定所」。サイトに投稿し募集した男と応募した男たちが金を持ってそうなOLを襲おうと短絡的に決める。
最初から殺害するつもりだ。顔など隠さない。
帰宅途中住宅街を歩いていた利恵さんを車に押し込み、包丁で脅し刺しカードの暗証番号「2960」を聞きだし首を絞め金槌で何度も何度も殴り、殺すという残虐さ。
犯人たちは遺体を岐阜の山に捨てる。
 
犯行を行ったのは神田司(かんだつかさ)、堀慶末(ほりよしとも)、川岸健治(かわぎしけんじ)の3人。
被害者のお母さん、伯母さん、理恵さんの恋人が街頭で3人の死刑判決を訴え30万人の署名を集め、地裁の一審で神田と堀は死刑、川岸は無期懲役の判決となる。
闇サイトで犯罪仲間を募集する投稿をした川岸が無期懲役なのは、死刑を恐れ自首したため。
地裁の判決後、被害者のお母さんは「(ひとりは無期懲役になり)何故、加害者の願いがかなうのでしょう」と言われている。
 
3人の加害者は判決を不服として名古屋高裁へ控訴した。
その後、神田は控訴を取り下げ死刑が確定し2015年6月に死刑が執行される。
控訴した堀の高裁判決は「(被害者が1人である本件では)死刑選択がやむを得ないと言えるほど悪質な要素があったとはいえない」と無期懲役となった。
被害者のお母さんは「裁判は何故加害者の立場に立つのか」と言われていました。
 
2012年に検察側の上告が最高裁で棄却されたことにより堀の無期懲役は確定する。が、別の強盗殺人事件が発覚しこの事件で2019年8月に死刑が確定する。
(被害者が3人になったから)
一方、闇サイトに投稿し犯行を犯しその翌日に自首するという不可解な川岸は無期懲役で服役中だ。
 
何故この映画を見に行ったかというと被害者のお母さんの言葉「私は事件を忘れたい。でも世の中にはこの事件を忘れて欲しくない」が新聞に書いてあったから。
地裁の裁判員裁判で「死刑」判決となった事件が、次々と高裁のプロの裁判官たちに破棄され「無期懲役」に減刑されているやん。
裁判員裁判をないがしろにしてるんと違う? 前例が基準なら、裁判員裁判はおろか裁判自体いらんやん。AIに判断してもうたらええやん。と思う。
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お気楽探偵アトレヤ 
2019年 144分 インド <インディアンムービーウィーク2020>
メモ 2020.10.15(木)シネ・リーブル梅田
あらすじ
私立探偵アトレヤは、鼻薬を嗅がせた警察関係者から「死体発見」の一報が入ると現場の「KEEP OUT」と書かれた立ち入り禁止の黄色いテープもなんのその。
「オープニングセレモニー」の様にテープカットして現場にずかずか踏み込み捜査を始める(誰も頼んでいないのに)。結果、警察官に蹴り出される。
感想
女の人が好意を持っている男の人の生真面目であほな行為を「おばかさんね」と甘やかす様にちょっと笑うのは洋の東西をとわないのでしょうか。
 
エンタメの体裁をとりながら民衆の心の拠り所の宗教と大国インドの内包する貧しさ、そしてはびこる拝金主義という暗部をえぐり出す。
という意図とかはともかく、インド映画というかインドの社会はちょっとづつ変わった ように感じる。
未婚の男女が探偵と助手となり車という密室で移動するんですよ。それも女の人が車を運転するねん。そしてこの映画踊りはありません。
 
しょっぱなに映画の話題が様々出てきてインドもアメリカ映画に毒されて・・影響を大きく受けているのが良くわかる。「ユージュアル・サスペクツ」のネタバレがちらっと映る。ほんま楽しい
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ミッドナイトスワン 
2019年 124分 日本 キノフィルム
監督・脚本 内田英治
出演 草なぎ剛(凪沙・なぎさ)/服部樹咲(はっとりみさき(一果・いつか))/上野鈴華(友人りん)/佐藤江梨子(りんのママ)/水川あさみ(一果のママ)/田口トモロヲ(ショーパブのママ)/真飛聖(バレエの先生)
メモ 2020.10.3(土)TOHOシネマズ梅田
あらすじ
飲んだくれの母親にまかせておいたら碌な事にならないと親戚が見るにみかね、中学生の一果を東京にいる「いとこおじ」の所に一時避難させる。広島から長距離バスで新宿に着き「おじさん」を待っている一果の元に現われたのは「お姉さん」だった。
感想
バスで海辺に向かい砂浜のシーンになるにつれ、こちらの目は点になっていく・・・(・・) 
ここは韓流ドラマの世界なの? それとも「真夜中のカーボーイ」なの?
この場面以外はがんばっているのになあ。もっとクールにして欲しかった。何故この展開にしたのか監督さんに小1時間ほど聞いてみたい。
 
一果役の子はぶすってしてるけど幼さを残してかわいいのにな。手足も細く長く美しい。
こんな子が身近にいたらニューハーフの人は羨ましくていたたまれないんちゃうかな。この子と草なぎ剛がいたからこの作品ができたのかもしれん。
 
トランスジェンダーの人達みんなが接客業に向いているってことはないんやろうけど、職業選択の自由がないねんね。
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