信州上田市に暮らす鉄男76歳。結婚せずに100歳の父の面倒を見て今日は野辺送りだ。父の鉄工所を引き継ぎコツコツと仕事を続けてきた。
夜は幼馴染たちとスナックで気楽に一杯飲むのがつつましい楽しみ。
そこにどこで嗅ぎつけて来たのか40年ぶりに兄の金之助がふらりと帰ってきた。風の便りで父の死を知ったという。放蕩息子のご帰還だ。しかも女連れ。
感想
そういやこういう俳優さんいたよなーと懐かしく思い出す柳澤愼一さんの
軽妙洒脱さ。
久しぶりに「らめちゃんたらぎっちょんちょんでパイノパイノパイ」(東京節)を聞いた。
正反対のぼくとつで口が重い高橋長英さんもよかったな。
「ボランティアにも肩書きがいる」などと会社員時代の役職にしがみついている年寄りとは違う人種の元気なじじいたちがここにいたよ。
「兄消える」という意味深な題名から前もって
兄は病気か事故で亡くなる。もしくは弟のお金を持って逃げると
2つ予想してどきどきしながら観てたんやけどどちらもはずれ。お兄ちゃんはそういう人ではなかった。
存外にしゃれた映画やねんけど、ウチは「熟成する前に見つけてもらえるなら孤独死もそれはそれでええんちゃう」と思っているもんで、
ラストは
悪質な後妻業にひっかからなきゃええねんけどと少し思う。
まあ作家の黒川博行さんが言ってはったように「男は金目当てでもええと思ってしまう」のかもしれん。
ちびさぼの中学時代の友達が次女で「自分の名前は二番手」と話をしていたそうだ。うーん。そうかな。
漫画「セトウツミ」の瀬戸小吉のお兄ちゃんの名前が「大吉」やった時も驚いた。
「兄消える」の3兄弟は金之助、銀次郎、鉄男。(3男は銅やないねん。) でも
鉄は鉄で強かった。