2017年12月のミステリ
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女王様と私
The Queen And I
2005年 歌野晶午作 角川書店 392頁
あらすじ
真藤数馬はニート。ビデオ屋に行くし親の車で出かけるしひきこもりではない。妹の絵夢(エム)がいるから孤独でもない。
東京都日暮里繊維街を妹とデートしているとオヤジ狩りに会う。世界の片隅でひっそり暮らしている僕に何が降りかかったん?
感想
ふんふんマゾでもロリコンでも案外この男常識的やんと読んでいると中途で、歌野センセおいおいとなって。 大丈夫か?
このお話破綻してるんじゃ? どこへ行くの? どう収束するん? 収束するのか? と危ぶんでいたら見事に終わりました。
・・・・・
そういやこの先生は、、、そういうヤツやったわ。 (クチョ)
お薦め度
★★★1/2
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叛逆航路
ANCILLARY JUSTICE
2013年 アン・レッキー作 赤尾秀子訳 創元SF文庫 473頁
ヒューゴ賞、ネピュラス賞他受賞作
あらすじ
遠い未来か別世界にひとりの旅人がいた。元、他の星との併呑(へいどん)を繰り返していた国ラドチの母艦<トーレンの正義>の属躰(アンシラリー)の1エスクだ。
<トーレンの正義>のたったひとりの生き残りはある目的を持っていた。それはこの世界をぶっ壊すこと。
感想
長いーことかかって読んでいた。夏の終わりに地元の図書館をふらついていると、夏休みの推薦図書だかの棚にあったこの小説と目があった。かっこいいよね。心惹かれるカバーと思う。
SFの事はさっぱりわからへんねんけど、蟻とか蜂みたいに「独りでありみんなでもある」属躰(アンシラリー)の生き残りが復讐しようとするどこか西部劇してる。こうなった顛末を語る過去と現在の苦境が交互に語られ、これまたウチの拙い知識では宗教は多くの(どこか根源的な)神様がいたはるインドみたい。東西折衷やねんね。
ラストは想像してたのとは違った。。。
星間国家ラドチの言語にジェンダーの区別がないという設定で、登場人物が時に「彼」と呼ばれたり「彼女」と呼ばれたりで、誰が男なのか女なのかどうでもいいのか、雌雄同体なん? 同性愛普通にオッケ? と思ってしまう不思議な世界が広がっています。 考えたら人型アンドロイドやロボットに雌雄の区別は必要なのか?
お薦め度
★★★★1/2
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君が
いなくても
平気
2009年 石持浅海作 カッパノベルズ 273頁
あらすじ
2つの会社の提携で生まれたヒット商品「着ロボ」の開発チーム6名。そこに起こった事件。
チームのひとりは、友達以上恋人未満の彼女が犯人ではと疑う。
感想
犯人にはまったくこれっぽっちも感情移入できないけど、チーム員のひとり桜沢務の我が身大事の洞察力には目を見張る。多少強引なれどここ読みどころ。
そして「忖度(そんたく)」って言葉がこの小説にすでに使われていたこと。びっくりした。
考えてみれば歌野晶午さんの
「世界の終わり、あるいは始まり」
と同じシチュチエーションなんやけど、主人公は向き合おうとはせず巻き込まれないように逃げようとするねん。しょせん家族やないから。でも他人から家族は作られるのにね。
お薦め度
★★★1/2
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