2016年12月の映画  戻る


この世界の片隅に
2016年 124分 日本
監督・脚本 片渕須直(かたぶちすなお)
原作 こうの史代
音楽 主題歌: コトリンゴ『悲しくてやりきれない』(ザ・フォーク・クルセダーズ)
出演 北條(浦野)すず/すずの夫・北條周作/姪・黒村晴美/義理の姉・黒村径子/幼馴染・水原哲/妹・浦野すみ/白木リン
メモ 2016.12.24(土)テアトル梅田
あらすじ
昭和10年の広島。熱を出した兄の代わりに問屋まで海苔を届けに行く少女がいた。夢見がちで絵を描くのが好きな少女すずは町で迷子になる。
昭和19年、見染められてすずは呉に嫁ぐ。婿殿北條周作は海軍の法務関係に勤める文官。どこで夫に見染められたかすずには心当たりがない。呉の北條の家には足の不自由な姑と優しい舅、嫁に行ったがよく帰ってくる有能な義姉がいた。嫁としてすずは懸命に働く。
感想
太平洋戦争前のつつましくのんびりした暮らし、軍港呉での戦中のひっ迫した状況と寄り添って暮らす人々に襲いかかる悲劇の数々、そして原爆投下、敗戦とつづく。
圧倒的な力 で市井の人々の生活を揺るがし破壊する。それが美しく(大和の国はこれほどに美しい)柔らかくゆったりとユーモアを交えて描かれる。
 
昭和6年関東軍が起こした満州事変、昭和8年国際連盟脱退、昭和12年盧溝橋事件、昭和16年12月8日真珠湾攻撃、太平洋戦争勃発。少女が身売りされまだまだ貧しかった日本。戦争は回避できなかったのか、とことん負けなければ国は変わらなかったのか。払った代償はあまりにも大きい。
 
エピローグを見るとあの女の子はリンの子やったんかな。
(2017.1.29追記)原作を読んだところ違ったようです
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聖の青春
2016年 124分 日本
監督 森義隆
原作 大崎善生「聖の青春」
脚本 向井康介
撮影 柳島克己
出演  松山ケンイチ(村山聖(さとし))/東出昌大(羽生善治)/染谷将太(弟弟子・江川貢)/安田顕(棋士・橘正一郎)/柄本時生(棋士・荒崎学)/鶴見辰吾(医師)/北見敏之(父・村山伸一)/筒井道隆(編集長)/竹下景子(母・村山トミコ)/リリー・フランキー(師匠・森信雄)
メモ 2016.12.17(土)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
大崎善生「聖の青春」を元に幼少の頃から難病に苦しみ29歳で夭逝した棋士、村山聖(さとし)を描く。
感想
「金なんて意味がないんじゃ!」とお金を何枚も何枚も破り捨てるところで不覚にも落涙(らくるい)する。
子供の頃の制限された生活の反動か、大山聖棋士は酒を飲み徹夜マージャンをし、塩分の多そうなものを食べやりたいことをしながら「名人」位獲得に突き進む。生き急いでいる。紳士然とした王子様の羽生善治棋士とは対照的なまさしく「怪童」。しかし「負けたくない」「勝ちたい」という執念は同じ。
 
「今日一日をしっかり生きなきゃいけない」 「健康なのが何よりの幸せ、ありがたい」 ではなく、ぼーっと生きていても 自分にとって大事な事、大切な事を常にわかってなあかんなと思う。
 
漫画「3月のライオン」の二海堂晴信棋士のモデルと言われている。作者の羽海野チカ(うみのちか)センセは肝臓を患う二海堂晴信を大金持ちの坊ちゃんと設定し、爺やとエリザベス(愛犬)にかしずかれ、特製弁当のみ食すという飼いならされた 節制した生活を送らせている。大山聖棋士にもっと生きて欲しかったという作者の思いかもしれない。
「3月のライオン」の解説者の先崎学棋士は、文章では穏やかな人と思っていたのに、柄本時生が演じる「荒崎学」がやんちゃでびっくりした。
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
2016年 118分 米国
監督 エドワード・ズウィック
原作 リー・チャイルド「ネバー・ゴー・バック」
脚本  リチャード・ウェンク/エドワード・ズウィック
キャスト  トム・クルーズ(ジャック・リーチャー)/コビー・スマルダーズ(スーザン・ターナー少佐)/オルディス・ホッジ(少佐の部下の軍人)/ダニカ・ヤロシュ(サマンサ)/パトリック・ヒューシンガー(殺し屋)/ホルト・マッキャラニー(「ブラックハット」)/ロバート・ネッパー(「プリズンブレイク」のティーバック)
メモ 2016.12.3(土)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
さすらいびとのジャック・リーチャーは軍時代の昔なじみスーザン・ターナー少佐に会いに軍に行くとターナー少佐はなんとスパイ容疑で捕えられている。少佐の弁護士は残酷に殴り殺され陰謀の臭いがする。弁護士殺害容疑で捕まったジャックは、少佐と共に脱獄し逃避行。
感想
花火が打ちあがるニューオリンズのお祭りでの追いつ追われつがハラハラドキドキ。
 
前作「アウトロー」は射撃場のじっちゃん(ロバート・デュヴァル)との男の連帯やったけど、今回は女ふたりとの逃避行と反撃。どちらも孤独、たったひとりの戦いちゃうんやね。「アウトロー」は警察に追われカーチェイスで逃げるジャックを、バス待ちしていたブルーカラーとおぼしき見知らぬ人々が匿う(警察嫌いなん)という名シーンがあったけど、今回はそういうちょっとしたエピソードが無くて残念。
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