2016年7月の映画  戻る


帰ってきたヒトラー ER IST WIEDER DA
2015年 116分 独逸
監督 ダーヴィト・ヴネント
原作 ティムール・ヴェルメシュ「帰ってきたヒトラー」
脚本 ダーヴィト・ヴネント/ミッツィ・マイヤー
撮影 ハンノ・レンツ
編集 アンドレアス・ヴォドラシュケ
出演 オリヴァー・マスッチ(アドルフ・ヒトラー)/ファビアン・ブッシュ(映画監督志望ファビアン・ザヴァツキ)/クリストフ・マリア・ヘルプスト(副局長クリストフ・ゼンゼンブリンク)/カッチャ・リーマン(局長カッチャ・ベリーニ)
メモ 2016.7.23(土) TOHOシネマズ梅田
あらすじ
ベルリンの町に突如中年男が1945年当時のヒトラーのなりで現れる。
きつーいジョークだと思って人々は笑っていたが、現れたのはタイムスリップして来たアドルフ・ヒトラー本人であった。
感想
ブロードバンド、マスコミ、ソーシャルネットワークを使ってあれよあれよと瞬く間に有名人になっていく「アドルフ・ヒトラー」。
彼の話は単純でわかりやすい。 強い国をめざそう。世界で独り勝ちしよう。めざせ第四帝国。
 
政治はそんな単純なものではなく、利害の衝突に対し様々なかけひき、工夫、妥協によってできるだけ平和により良い方向に持っていこうと画策し実行するものだと思う(二枚舌、三枚舌がうようよ)。  シンプル過ぎる考え方、信念は危険。
この間の参議院選に投票にいかなかった18歳の女子高生がTVで「もっとわかりやすく説明してくれたら・・」と言ってはった。確かにわかりにくい。迷う。そやけど「自分で探ろう。政治はあっちを立てればこっちが立たず、複雑なもんなんー民主主義ってそうやねんやからー。バラ色の解決はない。あなたが投票にいかへんかったら誰が若者の利益を確保するのどうやって未来を開くの、国益を守るの。お金は年寄りに持って行かれるよ。日本は世界有数の年老いた国やねんよ。」って誰か教えてやってー。
 
演説している「アドルフ・ヒトラー」の姿が米国共和党大統領候補のトランプ氏に見えてきてコワイよう。
「初めはみんな笑っていたんだ」 というユダヤのおばあちゃんの言葉が恐ろしい。
 
英国のEUからの離脱決定について新聞に色々書かれている中に「英国にはカナダ、オーストラリアという英連邦、米国という英語圏がついている。」という話や仏蘭西のエマニュエル・トッドという学者さんが「スコットランドが独立して、EUに加盟するという話があるが、私はスコットランドがロンドンではなくベルリンを選ぶとは思えない。」というくだりがあった。両大戦をへて二度と戦争をしないと設立されたんがECやEUやと思うけど、ロンドン対ベルリン、そして仏蘭西が絡むという図式は「ゲルマニア」の頃と変わらないんかな。このみっつの国は昔も今も強いんやわ。特にドイツは組織力と効率化が強い。
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二重生活
2016年 126分 日本
監督・脚本 岸善幸
撮影 夏海光造
音楽 岩代太郎
原作 小池真理子
出演 門脇麦(かとわきむぎ)(白石珠・しらいしたま)/長谷川博己(近所の石坂家・石坂史郎)/菅田将暉(白石珠の同居人・鈴木卓也)/リリー・フランキー(篠原教授)/西田尚美(篠原教授の婚約者)/烏丸せつこ(石坂の愛人)
メモ 2016.7.10(日) 梅田シネ・リーブス 
あらすじ
大学院生の白石珠は修士論文に悩み追い詰められていた。哲学科の珠は100人にアンケートをとろうと考えるが担当の教授篠原にそれは社会学や心理学のアプローチだと指摘され、無関係の人をひとり尾行して記録する事を進められる。接触することはルール違反と言う。
本屋で見かけた近所の男の後を着ける珠。彼は期待を上回るドラマティックな男であった。
感想
「尾行を哲学する」・・・わけわからん・・・「覗き見は楽しい」って事?
だいたい哲学がわからない。「哲学とは」ちびさぼの言葉「暇人の学問」・・・
凡人には踏み込んではいけない領域 「何のために生きているのか」 「何のために生まれてきたのか」に悩む主人公はどっぷり浸かってしまい抜け出せない。最後は論文に書けるだけの事を書いて(要するに他人の生活を覗き見ることはワクワクする。人生を彩る)トンネルを抜けたようなすがすがしさ。いったいどうなったん。なんだかなあ。こっちがもやもやする。
 
生身の人の秘密を知りたいとか、人を操りたいとかこれっぽっちも思わないウチにとってエキセントリックな内容で寄り添えない。ただ映画は一種の覗き見であり、2次元で架空の世界なら覗き見る(垣間見る)ことは好きなんだと思う(認めたくないけど)。そういう後ろめたさをチクチクついてくるような気もする。
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