大学の研究室で助手をしている生物学者の畑寛子。同居人のギンちゃんと、まったりゆったり暮らしている。ギンちゃんは、すらりとした長身の若い男。整った顔だちで、料理も上手な会社員。しかしふたりは恋人ではなかった。ギンちゃんは、ヒト型に擬態している人間外知的生命体。寛子においしいものをたらふく食べさせては、エネルギーをちょっとばかし吸い取って生きている。寛子の魂は健全でおいしいらしい。寛子は飼われているの?、鵜?フォアグラ?と思えばグロテスクであるが、よく言えば共存共栄、相利共生。その”皮膚を接触して(手を握るだけ)”吸い取られるのは寛子にとって至福の時間なのだった。
いっぱい食べても太らないし。その上、ギンちゃんクールでかしこい名探偵であった。の連作短編集。
感想
「セリヌンティウスの舟」に書いたけど、この作者読んでいる間は面白いんやけど、最期に
「それはないやろー」とさぼてんの中では毎回破綻するのだ。ところが今回は最期まで、気持ちよく読めたんだよ(驚)。いわゆる人間が描けているというか(それが、人間じゃないってのが・・・・いやはや・・・面白い)。
違和感のない初めてのお話って書いたけど、ギンちゃんみたいないい男、そしてムーちゃんみたいにかわいい子が側にいるのに
同じ種ではないギンちゃんを愛するなんて、人間であるわたしにはありえないことだ。
いや、じゅーぶんあり得ると思うけどなー。そやかてヒト型でしょ? うちなら、そんな壁速攻乗り越えくっちゃう。。(こんな魂の汚れたヒトには、、、、つかないか)