2007年8月のミステリ 戻る

A HAPPY LUCKY MAN ア・ハッピー・ラッキー・マン
2003年 福田栄一著 光文社文庫 397頁
あらすじ
柳瀬幸也(やなせゆきや)は東京の大学生。地方から出てきて県人寮"東雲寮(しののめりょう)"に住み、サークル、バイト、あいまにテキトーに勉学と、東京生活を満喫している。ところがお気楽な毎日に暗雲立ち込める。ど仏の教授のはずだった「国際法」の教授が急病となり、かわりがど鬼の助教授。一週間後にレポートを提出を言い渡された。そのレポートの出来いかんでは、後期の授業は出なくていいとか。必須科目で落とせば留年決定。幸也は頑固親父に「留年したら仕送り停止」と約束させられ、上京した身だ。やばい。。。。寮に帰れば管理人さんが階段を落っこちて、入院してしまう。そして、飯炊きから蛍光灯を変える事やら、とどめはトイレの詰まりの手当てまで全ては寮長の双肩に乗っかった。・・・・寮長って俺じゃん。やばいじゃん。
感想
面白かった!
自分の事はグータラだが、人に頼られると東奔西走する主人公・幸也が、痴漢騒ぎにひき逃げ容疑、合コン争いでしのぎをけずり、ライバル寮「黎明館(れいめいかん)」とのこぜり合いと次々寮生に降りかかる災難と幸せのために八面六臂の活躍をする。
主人公は、なじられた後輩のために、「黙れ カス」と即座に言い返す姿がかっこいい。男気があるんだ。
 
著者のデビュー作。「エンド・クレジットには最適な夏」に比べ、登場人物が多く変人・・頭のねじがはずれている・・・バカちん・・個性的な面々がてんこもり。美形だが女嫌いの的山(まとやま)。こいつはトッド・ブラウニング(「「ファイナル・ディスティネーション」)の名前がすっと出てくるホラーマニアでもある。 角刈りで無精ひげ、麻雀・競馬と博打ちの遊び人望月。とても学生とは思えない。 ごく自然に電話番号を手に入れることのできる「女の事はまかせとけ」の甘いマスクの広瀬。 素顔はひらめ顔だが、濃いメイクを好み「(とかげのように)舌をちょろちょろ出して」女の子にアピールするデスメタルバンドのギタリスト中西(聖飢魔IIのデーモン小暮みたいなんかな)。 空手一直線の後藤と巨体(うどの大木)に似ず理性的な佐竹。 そして幸也のまったく枯れていない祖父・繁爺(しげじい)。それぞれの価値観で好き勝手生きているようだが、老いも若きも、おとなしいのもやんちゃもある一点では気持ちがひとつになる。それは、、、ぴちぴちした女の子が大好き! 灰になるまで変わらん(一部的山を除く)。
お薦め度★★★★1/2戻る

エンド・クレジットには最適な夏 
2007年 福田栄一著 東京創元社 302頁
あらすじ
貧乏学生の晴也はバイトに勉学にと毎日忙しい。そんな晴也に悪友の和臣が持ってきたいい話は、「ストーカーを捕まえて欲しい」という依頼。被害を受けているのは同じ大学の女子大生、能見美羽(のうみみう)。美人の美羽はバイトにホステスをしていた。何人かあたりを付けて動くたびに、「美人局で脅迫されているカメラ屋の社長」の依頼やら、「年の離れた妹の行状が心配な兄」の依頼やら、「純な50男の恋のキューピッド役」やらを頼まれ、いつの間にかフル回転となる。