2004年12月のミステリ 戻る

牛乳アンタッチャブル
2002年 戸梶圭太著 双葉社
あらすじ
大会社・雲印(くもじるし)乳業の低脂肪乳による食中毒の発生と大企業首脳陣のオタオタ、マスコミの興奮ぶりを横目に人事担当役員柴田は部下の宮部に命じる。それは舞台の大阪に乗り込み、雲印(くもじるし)食中毒事件特別調査チームを編成して責任のある者をどんどんクビキリ、社内を一掃する事だった。世直しじゃ〜。妨害、脅迫、隠蔽、泣き落としにもめげずチーム7名はクビキリにいそしむが、敵もさるものひっかくものであった。
感想
ちびさぼが中学に入った初夏、1学期末の懇談会で担任のセンセとさぼてんは教室で向き合っていた。3者懇談であったのにもかかわらずちびさぼが忘れはて家に帰っていてその場にいないのであった(さぼてんは会社を早退して直接中学校に来ていたのである)。 主のいない懇談・・・・(何を話したらえーんや)・・・・・センセが3階の教室から窓の外を見て言われた・・・・「よー飛んでますなー」。当時ヘリコプタがある工場の上でバリバリバリバリ毎日毎日あきもせず旋廻していたのであった。その工場というのは雪印乳業大阪工場。今は売り飛ばされ高層マンションが建っております。毎日うるさく「下にはお年寄りも病人もいたはるかもしれへんのに」と正義面しているマスコミは信用できねーと改めて思ったもんでした。そして牛乳というのは工場で作られる製品なんだって知った。脱脂粉乳という乾き物にも毒素が残るって知った。 この本はおそまつな雲印乳業だけではなく消費者もまな板にのせる。「お前ら消費者が少しくらい高くても安全な牛乳を飲みたいというしっかりした意識を持たんからこういう事になるんじゃ。ええもんはそれなりに高くつくんじゃ!それくらい学べ、このくそバカ国民があ」とラインの責任者に言わすのである。
 
戸梶圭太氏が何ゆえこの小説を書こうとしたのか。「記者会見の大阪工場長のとんでも発言と、社長の開き直りプッツン」が面白かったからか(わたくしTVニュースを見ないもんで見逃しております)。それともすべて人のせいの大企業病に覆われている日本国を危惧したためだろうか? いや雲印乳業というのを思いついたからだな、きっと。   おばちゃま、そう思うのよ(合掌)
おすすめ度★★★★1/2
戻る

お父さんのバックドロップ
1989年 中島らも著 集英社文庫 179頁
あらすじ
「お父さんのバックドロップ」の原作本。4編からなり、いつまでも少年っぽさを残しているというか子供より子供っぽいヘンテコリンな4人のお父さんとその子供の物語。
 
「お父さんのバックドロップ」  
  「プロレスって・・・・(八百長?)」と問われた下田牛之助は言うのである「人間じゃねえんだ。怪物だよ。怪物。そんなのが本気出して戦ったらどうなる? 殺しあいだよ。それをやらないのを八百長だっていうんなら、八百長だわさ、たしかに。」・・・・・プロのレスリングって矛盾を含んだもんなんだ。
「お父さんのロックンロール」  
  11歳の娘小筆(こふで)の家庭訪問の時、先生にロックンローラー姿(しかもパンクロック)を見せようと頭をモヒカンにしたお父さんが言う。「お父さんだってな、こんなかっこうをして島田先生にお会いするのはやはりはずかしい。あながあったら入りたいくらいだ。」 小筆が「どうして、どうしてなのお父さん? どうしてそんなことするの?」と問うと 「それはな、小筆・・・・」 「うん?」 「・・・・・おもしろいからだ。」 最高やね。
感想
(人間の)男と女は別の生き物と言う人がいるけど、さぼてんにはよくわからない。 色々いるもん。 そやねんけど小さな男の子ってふざけていたらなかなかやめられへん子多いね。「えーかげんにしときや」と言われてもふざけてほたえていたらもう夢中で、親やガッコのセンセの眉が吊り上っていくのがわからん。 ほんでもってとことんしかられてベソをかくハメとなる。 夢中度が大きいというか。 女の人も「ヨン様」とかに夢中になるんやけど、それは「みんなと一緒がいい」というののひとつで、地味婚とかハデ婚とか大勢にひっつきがちかな。だいたい「アタシはそうは思わない」なーんて言ったら女商売やりにくいねん。マニアックな話にあまり興味がない人が多い。反面男の人は「俺は違うぜ」って見せたがる人が多いかな。
 
プロレスってのもよくわからへんねんけど、「お父さんのバックドロップ」で下田牛之助がヒール(悪役)になって場内の客をおどしまわるシーンがある。 あれ、えーよね。すっごくよかった。どきどきしたよ。あんなんをこんまい時にキャーキャー体験したり見たりしたら、そらプロレスから離れられへんと思う。 「アレが悪い、コレが悪い。アイツが悪い。あの団体が悪い。プロレスは地に落ちた。もうだめだ。。。。」という話を時々ネットで読んで「そんなに地に落ち続けたら、地面に穴ほらなあかんわ。」と思うもんの、それでもプロレスを見つづけ、紅白の裏番組のK−1とかの視聴率が20%を越えたとか聞くと男の人って面白いなって思うの。
おすすめ度★★★★★
戻る