2004年12月の映画  戻る


約三十の嘘

2004年 日本 100分
監督 大谷健太郎
原作 土田英生
脚本 土田英生/大谷健太郎/渡辺あや
音楽 クレイジーケンバンド
出演 椎名拮平(志方大介)/中谷美紀(宝田真智子)/妻夫木聡(佐々木健二)/田辺誠一(久津内守)/八嶋智人(横山宏紀)/伴杏里(今井優子)/ゴンゾウ/徳井優(タクシーの運転手)/田中耕二
メモ 2004.12.29 テアトル梅田
あらすじ
大阪駅に集合した詐欺師5人、途中で1人加え総勢6人は豪華寝台特急トワイライトエクスプレスで一路札幌を目指す。札幌で<高級>羽毛布団を売り抜き500組1億5千万円の荒稼ぎだ。そろいのスタッフジャンパー、カラオケに景品、パンダ相の良くないパンダ・ゴンゾウもイベントを盛り上げるといったいつもの手順。不協和音は宝田が連れてきた新メンバーの横山と訳アリの今井(伴杏里)だった。
感想
チームを組んで仕事をする詐欺師(嘘つき)は仲間を信頼できるのか? っていう興味あるお題にいどんだ作品。チームは3年前にメンバーの裏切りにあい金を持ち逃げされ、空中分解していたのだ。リーダーの志方(椎名拮平)はショックで今もまだふぬけ状態。再結成したチームメイト達は何かをたくらんでいるのかもしれない。 舞台は行きと帰りのトワイライトエクスプレスの車中だけで、元々舞台劇だったよう。男4人に女がふたりというのも もめそうな割合。 愛と欲のそれぞれの思惑が絡み合い、天性の2流の嘘つき達の心理劇で面白くないはずがない!・・・・のに面白くないの。 なんか薄いの。 ゆるい。 宝田(中谷美紀)がどういう推理をしているのか全然読めない。推理しているのか? このキャストでこの命題で面白くないなんて、、、おかしい。どこかおかしい(おかしけりゃ笑えって?)。どんでん返しを期待していたアタシがバカだった? それともアレがどんでん返しだったわけ?
おすすめ度★★★
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Mr.インクレディブル THE INCREDIBLES

2004年 米国 120分 ディズニー&ピクサー 日本語字幕・稲田嵯裕里
監督・脚本 ブラッド・バード(「アイアン・ジャイアント」)
製作 ジョン・ラセター(「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」「トイ・ストーリ2」)
音楽 マイケル・ジアッチーノ
キャスト Mr.インクレディブル:ボブ・バー(クレイグ・T・ネルソン)/Mrs.インクレディブル:ヘレン・バー(ホリー・ハンター)/ヴァイオレット(サラ・ヴァウエル)/ダッシュ(スペンサー・フォックス)/ジャック・ジャック(イーライ・フシール、メイヴ・アンドリュース)/シンドローム(ジェイソン・リー)/フロゾン(サミュエル・L・ジャクソン)/エドナ・モード(ブラッド・バード)/ハフ(ウォーレス・ショーン)/ミラージュ(エリザベス・ペーナニャ)
メモ 2004.12.18 梅田ブルク7
あらすじ
一世を風靡したヒーロー中のヒーロー、Mr.インクレディブルは引退を余儀なくされる。時代に合わなくなったと世に切り捨てられたのだ。それは自殺する所を救ったのに怪我させてしまい「大きなお世話でした」と訴えられるわ、「大きなパワーで被害を大きくした」と非難されるわ。それから15年、政府の保護プログラムで身を隠し細々と暮らしている。家族は職場結婚した元イラスティガールのヨメ・ヘレン、内気な娘ヴァイオレット、いたずらっ子の長男ダッシュ、2歳の次男ジャック・ジャック。平和で幸せなはずが身の丈が世間とあわず欲求不満くさくさは募るばかり。中年の危機だ。夜な夜な元ヒーローのフロゾンと警察無線を盗聴している。その心の隙間に美女が入り込む。
感想
スピーディ! 「007」のご家庭版。仲間の元ヒーロー・フロゾンがアニメ「シャーマン・キング」のホロホロみたいな凍らせる能力やった(似すぎ)。
 
濃いキャラ連の中で最高だったのは、デザイナーのエドナ・モード。時代についていっている、いやリードしている強烈なおば様。大ッ嫌いな言葉は「時代遅れ」・・・・「007」のQだな。ブラッド・バード監督自身が声を演じている事からも並々ならぬ思い入れがあると、、、思われ。マントが欲しいとねだるMr.インクレディブルに「危ないからダメ!」 「ノーケープッ!」と断じる所で映画のオチがわかるという仕掛けになっている。
 
それぞれの成長物語でありヴァイオレットが明るい少女になったのはひとりのハハとして嬉しく思うが、シネフィルとしては「キャリー」の様な以前の方が個性的だったな、などと思ってしまうのであった。
おすすめ度★★★★1/2
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お父さんのバックドロップ Backdrop del mio PaPa

2004年 日本 98分
監督 李闘士男
プロデューサー 原田泉
原作 中島らも「お父さんのバックドロップ」
脚本 鄭義信(「OUT」「刑務所の中」)
音楽 Coba
撮影 金谷宏二
出演 宇梶剛士(下田牛之助)/神木隆之介(下田一雄「QUIZ])/南方英二(下田松之助)/南果歩(金本英恵)/生瀬勝久(菅原進)/田中優貴(金本哲夫)/奥貫薫(下田早苗)/AKIRA(斎藤政夫)/コング桑田(松山健)/荒谷清水(ドラゴン井上)/清水哲郎(中島敦彦)/エヴェルトン・テイシェイラ(ロベルト・カーマン)
メモ 2004.12.17 シネ・リーブル梅田
あらすじ
『新世界プロレス』のプロレスラー下田牛之助43歳、妻に先立たれ一人息子の一雄と生まれ育った大阪の町に帰ってくる。父、息子、その息子の3世代の男所帯で一雄は洗濯係。父のもとに洗濯物をかいがいしく届ける一雄だったが、ほんとの所は父の仕事を恥ずかしく思っていた。プロレスがだいっきらい。今までは巡業にあけくれ息子の事はヨメにまかせっきりだった牛之助は、成長しつつあるそんな息子と向き合う事になる。
感想
プロレスってボクシングの生真面目さと違って、真剣でありながらそこはかとない哀愁とコミカルなエンターティメントなんだ。下田牛之助は男気あるロマンティストであった。父であった。
 
原作は中島らもさんの「お父さんのバックドロップ」。ご本人も甲羅を経た散髪屋役でおもしろい。時代設定が1980年という事もありのすたるじっくなしみじみとした映画やったな。「もうお前は死んでいる」状態の牛之助がマンガチックではあるが。ええねん、許しちゃおう。牛之助のお父さん役の南方英二さん(チャンバラトリオ)のとぼけながらも世慣れた風情がよかったな。2組の父と子の話なんやね。「お前は一雄にどう思われたインや」 「尊敬されたい・・・・」 「ぜいたくやな」といいながらも去り際に黙っておっきな息子の頭をなでていく。 この映画は他にも印象的なセリフと場面が多かった。 傾いている団体をなんとかしようと憎まれ役に徹して「金、金、金」の生瀬勝久さんが「(俺はな)レスラーを食わしていかなあかんのやっ」。この言葉で彼のプロレスへの愛情がわかるねん。 牛之助の幼馴染の南果歩さんが、「一雄に嫌われている・・・」と落ち込んで抱きつく牛之助に「押し倒したら承知せーへんからっ」というシーン。昔っから好きやったのに、どきどきしているのに、つっぱるのがかわいそうやねん。
 
さぼてんは、べたべたしているようで距離がとれる人間関係、おもろくていささかもの哀しい大阪が好き、関西の空気が好きというのを再認識した映画であった。
おきにいり度★★★★★
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