2004年6月のミステリ 戻る

イニシエーション・ラブ

乾くるみ作 2004年 原書房 263頁
あらすじ
メンツが足りないからと突然降ってわいた合コンで知り合った彼女。年下とはいえ大学生の俺とは違って歯科衛生士をしている社会人だ。今まで女の子とは縁遠かった俺にとっては空から舞い降りてきた天使だった。
感想
何を書いてもネタバレに抵触しそうだ。でも、言いたい!、書きたい!のだ。しかしちょっとでも秘密を知ったら、、、「もののみごとにやられました。まいりました。完敗でございます」とはならない。感のいいそこのあなた。以下の感想は読まない方がいいと老婆心ながらご忠告いたします。いやあ「Jの神話」ではぼろんちょんに言ってましたが、おみそれしやした。
密かなロマンチストのそこのあなた。読みましょう。震度7ぐらいの激震が味わえます。かわいそうやねん。
誰かが・・・まあ思いっきりこけにされてましたな。
 
何事も最初が肝心という事だな。何を学ぶか。「イニシエーション・ラブ」・・・・・通過儀礼・・・・・なるほどねえ。失敗は成功のハハというか。なんというか。
「いやにモテルな、こいつ。ハテ?」とか ラスト近く「物理専攻? えっ? こいつ数学じゃなかったっけ? まあ、数学と物理は似ているような気がせんでもないが。  島津製作所の田中さんも会社に入ってから工学から化学にかわりはったわけやし、そういう事もあるやもしれん。」 と頭の中で納得していたわけだ。納得するなーーくっそうーーーーーさぼてんが理系だったらここで メッタメタのギッタギタにしてやれたのにぃぃ。
 
A面とB面について−死語に近づいてきたかも。
まだMDコンポが我が家に無かった頃、ちびさぼ希望のラジヲを録音するのにテープを裏返しにしていたら「えっ!」と驚愕されてしまった。 テープは線(トラック)かあって半分しか使わず、裏返しにしてもう片線に録音すると言ってもなかなか理解できない様子。続けて録音できるけれど 実は隣あっているわけなんだ。しかしちびさぼにとってLPレコードのA面やB面なんて「昔そういう事があった」というおとぎ話の 世界なのだ。最近のCDは「ダブルAサイドシングル」とか「トリプルAサイド」とか言うらしい。「トリプルAサイド」って・・・・それは何? 意味不明。
おすすめ度★★★★
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フェッセンデンの宇宙

エドモンド・ハミルトン作
あらすじ・感想
「フェッセンデンの宇宙」 Fessenden’s World(1937)
天体物理学者のアーノルド・フェッセンデン。彼は世界初の実験天文学者となった。 宇宙を観察するだけでなく宇宙を創って使って実験するという試みだった。 しかし神になった彼はナチスの人体実験のように面白がって殺戮を繰り返す。
荒唐無稽なマッドサイエンティスト物。小さい頃巨人が大きな部屋を持っていてそこに宇宙があってと考えてひ とり恐がっていたな、ワタクシ。他には寝てたら家ごとゴジラに踏み潰されると思って寝られなかったとか。
「反対進化」 Devolution(1936)
飛行機から目撃した不思議な生物。カヌーを繰り出して探検してみればゼリー状の生物だった。探検して 見つけるのは未開人とは限らずアルクタル銀河からやってきた高度な知的生物だった。全宇宙を支配化におく のが我らの使命と考えている。数十億年前に種をまいたが、全然連絡が無く様子を見にきたとか言う。
この地球上で地球人が共存共栄できず殺しあうのは何故か? がわかるお話。ま、外敵を撃退したとも言えるわけで。
「未来を見た男 」The Man Who Saw the Future(1930)
15世紀魔術師として告発された薬師は未来世界へ旅してきたという。
焚殺になるとわかっていながら、輝かしい未来の話を嬉々としてしたがる男。SF好きの鏡だな(キリスト教批判かも)。
「翼を持つ男」 The Man Who Hath Wings(1938)
両親の地下鉄事故の結果、翼を持って生まれてきた男。人類史上ただひとりの鳥人だ。
SFの形を借りた去勢されない男の物語。無期懲役と死刑なら、死刑を選んだんだな。
「追放者」 Exile(1943)
プロのSF作家が4人集まってよもやま話をするうちに当然のこと話はSFに・・・・。
もっともおもしろかった作品。どんでんがえしものであり、嘘か誠か3人は取り残されるのである。
「虚空の死」 The Dead Planet(1946)
サーン、ドリル、オロックの3宇宙飛行士は発電機の故障から緊急着陸しようとしている。場所は全銀河系の 中でもっとも荒涼とした世界の中の小さな惑星だった。この惑星は老いさらばえたどす黒い太陽を中心にして回っている。
これも好きな作品。地球人を上げたり下げたりだなあ、作者は。ペシミストでロマンチストなんだ。
「ベムがいっぱい」 Wacky World(1942)
火星に到着するとSF話どおりのタコ火星人が出現。俺たちの不幸はみんなお前達のせいだとわけのわからん事をいいだした。
面白かった。ユーモアと皮肉のあわさった作品。読者の要望のままにSFを書いて書いてえーかげんこういう話を 書きたくなったんだな。
「時の廊下」 The Inn Outside the world(1945)
過去でも未来でもない世界と通じている。。。選ばれた者だけが通える場所。そこはサロン化していてまいど議論が始まる。
能力のある人はそれに見合った仕事をしなければならない。その使命がある。そうとでも思わなきゃリーダーなんて やってらんない。ブッシュ大統領も小泉首相もビン・ラディン師もそう思っているだろうて。せめて日本国の首相は勘違いではありま せんように。しかし男ばっかなんだな。
「世界のたそがれに」 In the World’s Dusk(1936)
とうとうやってきた人類の最後。最後のひとり偉大な科学者ガロス・ガンは強く心に誓う。人類を再生させると。
ゾンビ物とタイムマシンを融合させた作品。ラスト、たそがれモードで夕日を見ているガロス・ガン。気の毒なような おかしいような悲喜劇。好き。今まさに問題となりはじめている地球規模の「水の欠乏」。 すごいな70年も前からわかっていたなんて。
「何が火星に」 What’s It Like Out There(1952)
第二次探検隊から生還したハッドン軍曹。遺族の求めに応じて故郷に帰る道すがら戦友仲間たちの最期を伝えるのだった。 しかしそれは事実とは違った。
真実を伝えなかったのは4千マイル彼方に眠る友たちのため。こうしなければ彼らの死は無駄死になってしまうと いう哀しい思い。そして悲劇は繰返されていく・・・・・・。
おすすめ度★★★★
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