2003年9月のミステリ戻る

死が招く <ツイスト博士シリーズ>
1987年 ポール・アルテ 平岡敦訳 ハヤカワポケットミステリ 185頁
あらすじ
ミステリ作家が最新作と同じく密室内で死んでいた。室内の料理は出来立てほやほやだが、死体は24時間たって冷え冷え状態。遺体の側で「?」と首をかしげるのは犯罪学者ツイスト博士ハースト警部だったと。
「第四の扉」に続くツイスト博士第二弾。フランスのカーとの呼び名も高い(早川書房が呼んでいる)ポール・アルテ第三作。
感想
久しぶりに物語り物語りした話を読んだような気分だ。犯人はすぐに目星がついたんだが、、、まあそれは「論理的思考」の果てではなくカンであり自慢はできまい(してるが)。密室のトリックはまあまあ健闘していると思うな。一番おもしろかったのはツイスト博士の謎解きシーン(183頁)で
「○○を殺す理由は他にもあったかもしれませんが・・・・
  (名探偵も想像のつかない理由があった事は、幸い読者諸氏の知るところである)」
行間に「どうやっ! よーできていると思わんか?」と作者会心の笑みがこぼれとるぞ。はい、拍手拍手。この作者は本筋じゃない所の方が面白いな。侮れない潜在能力かも。
 
ややものたらなさ(はっきり言えば欲求不満)を感じるのはミステリ作家ハロルド・ヴィカーズ自身が考えていた密室トリックと、切り裂きジャック事件当時警視庁の警視だったメルヴィンの残した論文が明らかにされていない事。小出しなんか?
おすすめ度★★★1/2
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笑う怪獣−ミステリ劇場
2003年 西澤保彦 新潮社 411頁
あらすじ
京介、正太郎、俺アタルの3人は社会に出てもつるんでいる。彼女いない歴二十○年の3人だ。頭の中はHと女の子の事ばっっかりというフツーの男だ。フツーじゃないのは最近才能が開花しはじめたのか女の子じゃなく異形の物を引き寄せるのよ。怪獣とか宇宙人とか改造人間とか幽霊とか。
感想
SFとミステリの崖っぷちをひた走る作者改心会心のナンセンスコメディ。
「怪獣は孤島に笑う」
  おちょくっているというかヒトをオモチャにしているというか。これは何と言っていいのやら・・・・。
  まあ忘れられん作品やね。怪獣がほんま性悪なんだ(笑)。
  最後の脱力感なんてそりゃもう。無意味なシロモノここに極めり。
  趣味というものは暇つぶしなんかなあ。本を読むというのもそうなのかも。
  いくら読んでもかしこなった気はせーへんもんなあ(読む本に問題ありっ・・・か)
「書店、ときどき怪人」(「晴れ、ときどき殺人」のもじりね)
  これは最後のあほーで悲しぃーオチがばっちり決まったなあ(作者は長生きするデ、ほんま)
「女子高生幽霊綺譚」
  「今日晴れてさえいれば、せめて雨さえ降っていなければ」という死に際に聞いた犯人の
  セリフ(ダイイングメッセージじゃなくマーダリングメッセージ)から犯人を推理する本
  格的推理小説。事の成り行きを語るのはマーダリングメッセージを聞いた女子高生・・・
  の幽霊。世にミステリの種はつきまじと嬉しく思うぞ。
 
登場人物の名前が正太郎、京介ときて割と普通ヤンと思ったらアタル。はっはーん「うる星やつら」か。という事は正太郎は「鉄人28号」なわけだな。京介? 氷室京介の訳ないから「怪奇大作戦」の三沢京介か。(氷室京介だったりして)
おすすめ度★★★★
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