2003年4月のミステリ戻る

モンスター・ドライブイン THE DREIVE-IN

ジョー・R・ランズデール著 1988年 創元SF文庫 238頁
あらすじ
舞台はテキサス州の巨大ドライブイン・シアター《オービット》。そこには6階建ての高さのある6面のスクリーンがあり4千台の車を収容できる。つまり4千台掛ける4人として約1万6千人が一度にホラー映画をオールナイトで見る訳だ。その映画のラインナップは「アルバート・ショック(見ておりません)」 「死霊のはらわた(サム・ライミの)」 「ナイト・オブ・ザ・リビング・デット ゾンビの誕生(ジョージ・A・ロメロの))」 「大工道具箱連続殺人(残念ながら)」 「悪魔のいけにえ(チェンソーのヤツね)」の豪華な5本立て。ボブとランディと僕ジャックはハイスクール仲間。知り合いのウィラードの送別会でどんちゃん騒ぎをやろうとお菓子とコーラ、ビールを持って乗り込んだ。ところが2本目の「大工道具箱連続殺人」が中盤まで進んだ所で異変が起きる。巨大な赤い彗星が向かってきたと思うとその星にギザギザ歯の口が出現。口が遠ざかるとドライブイン・シアターの周りはファッジプディングのような黒いモノで壁ができていた。その黒いプディングに触った者は、、、、プシュ、シュワシュワシュワ。。。。溶けた。ここからが恐怖の時間の始まりだ。見るのは好きやけど出演者には断じてなりたくないスプラッターホラーの世界にスリップしたのだった。
感想
青春サバイバルアドベンチャー物の変型・・・なわけないか。どういっていいかわからん。はちゃめちゃというかぐじゃぐじゃというか。解説の『極限状態での「信念」と「希望」と「人間の尊厳」。最後まで逆境と戦うことに価値があると作者は謳いあげているのである』を読むととても高尚な気がするが、、、信じて読むととんでもない目にあうから。いやあしかし「ポップコーンキング」のクリチャーはなかなか。メン玉のついたポップコーンってなまなましくイメージできる。B級スプラッタホラーに対するこれは”愛”の物語なのだ(大嘘)。

昨日「シャイニング」を見てたらね、「ドナー隊」の話がでてきてね。出発が遅れてシエラ山で雪に阻まれてにっちもさっちもいかなくなった幌馬車隊の話らしい。それから起こった事と言えば。。。
おすすめ度★★★★
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quater mo@nクォータームーン

中井拓志著 1999年 角川ホラー文庫 538頁
あらすじ
もうすぐ2000年を迎える1999年。岡山県内陸の盆地・久米原市では事件があいついでいた。女子中学生2人の投身自殺。その後中学校教諭の投身自殺。どちらの現場にも「わたしのHucklebery friend」という走り書きが残されていた。
感想
「クォータームーン」って題名どういう意味なんかな。誰を指しているんかな。サイバー空間「月の帝国」の4女神のひとりアフロディテの事を指しているん?4人の内残ったのはアフロディテだけ・・・っていきなりネタバレかい? 大胆不敵な題名だ。

このお話を読んでいて思ったのは「この世は今二分化している」って事かな。今更ながら。「自分のホームページを作ったりインターネットの掲示板やチャットルームで遊んでいる人とそうでない人」。遊んでいない人にも、うちの両親のように「いんたあねっとって言葉は聞いた事はある」クラスの人達からインターネットは会社のPCでは使っている人まで色々なレベルがあるな。それでも遊んでいる人とそうでない人には大きな違いがある。のかもしれん。遊んでいる人達には二つの顔があるな。サイバー空間で遊んでいるだけの顔しかない夜にしか生息しない人達もいるかもしれんが。小説では遊んでいない代表格が警察。そういう警察は別世界に踏み入る事ができない。「リンク/ジャンプ」ってすごい事のようやけどとあるサーバーのファイルを開くだけの事。その「開くだけ」が画期的な事だったんだな。そして掲示板やチャットで不特定多数とおしゃべりできる。むうう。さぼてんは人生ちょっと変わったね。

会社でお茶したりお昼を食べたりの仲間がさぼてんを入れて6人いるんやけど、その内家でインターネットとメールをしているのは4人。平均年齢が・・・(聞かんとって)って理由もあるけど。4人の内ひとりはHPを作っているかもしれんと睨んでいるが、それはアンタッチャブル。さぼてんもHPにいそしんでいる事などおくびにも出した事はない(いそしんでないか)。それはヒ・ミ・ツ、シークレットなのだ。現実世界とは切り離しているはず(ボロボロ書いているが)。オフ会も参加しない。サイバー空間の匿名の世界では様々な事も起こる可能性はある。が、逃げ出す事はできる。高速バスハイジャック事件のように掲示板に書かれた悪口も事件の原因のひとつという事もあるだろうが。
しかし、その匿名の世界も「限定された人間達の閉鎖空間」だと現実世界と切り離す事が出来ず逃げ出せない。アンリ=ジョルジュ・クルーゾ監督の「密告」と同じだ。だからこの小説は世界に開かれた仮想空間を相手にしながらも特別な設定がされている特殊な話と思う。
とはいってもちびさぼの友達がHPを作っていてちびさぼが毎日インタネをしていたりすると、のめり込まないかといらん心配している自分がココに確かに、いる。
おすすめ度★★★★
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