2001年10月のミステリ

草原の狙撃

1989年 ロバート・キャンベル作 田口俊樹訳 文集文庫
あらすじ
シカゴから西に向かう列車の食堂車で男が射殺される。車で追いかけふざけて列車に発砲したインディアンの弾にあたったらしい。事故に思えたがハッチはひっかかりを感じる。インディアンの少年のひとりが、食堂車でグラスをかかげる男が見えたと言うのだ。あの距離から見えるのか?
鉄道探偵ハッチシリーズ第二作。
感想
中西部の草原を走る弾丸特急とホワイトホースを追うインディアンといった100年前の西部開拓史さながらの場面を縦糸に、エイズ、M&A(企業合併買収)という90年代アメリカ事情を横糸に編み込んだ大陸米国の探偵小説。
出だしが懐かしい程のレトロ味で1930年代の私立探偵物かと思いましたが、時代は1980年代末。エイズが社会現象になり始めた頃のアメリカ人がどういう感覚だったのかよくわかる(~~;)。それまでは”性の解放”を大いに甘受していたのね。あっちの駅こっちの駅にいる女達から結婚を迫られるハッチ。甘い蜜を吸いながら独身を通してきて55才になった今「ラストチャンスよ」と最後通牒を突きつけられた男の心境を思うとおかしい(あー時間よ止まってくれぃ)。
おすすめ度★★★
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湾岸リベンジャー

2001年 戸梶圭太作 祥伝社
感想
おとこってもんはやなあ、「おんなと○」「おんなと△」「おんなと□」「おんなと・・・」しか頭の中にない動物って思われてるけどなあ、オンナもあんなかわいい顔して「わたくし、そんな事いたしませんのよ」ってすましてるけど、スミになんて全然置かれヘンねんから。ちょめちょめ大大好きやねんから・・・というようなお話だったんでしょうか?(誰に聞いてんねん)

 「溺れる魚」でも思ったんですけれど、作者の描く登場人物は最初と最後では人が変わってみえる(そうしているのか、そうなっちゃうのか)。 常識人の人格が音を立てて崩れ一皮も二皮も何もかもむけて「えっ、この本ってアクションちゃうかったん?」という展開になり読むのを止め・・・・られるはずもなく、しっちゃかめっちゃかあれよあれよという間に最後はスプラッター・ホラーの様相を呈していた。しかし、考えてみれば出だしもそうだったんかも。

「夢中になれる物があるのっていい」とか言うけれども、趣味とかマニア とかについてもろもろ考えてみると、人間、バランス感覚を崩していったら行くトコまで行くんでしょうかね。行ってみたい気もする。例えば、ひとり暮らしのマンションで猫とか飼いだしたら3匹目からが危ないっていうやん。後は五匹十匹二十匹の世界へ邁進って。そういう風になっていくんかな。
さぼてんの趣味は「読書と映画鑑賞」というごくふつーのへいぼーんありきたりな趣味なんですけれど、それでもマニアなお世界というのはあるわけで。働いておまんま食べていかなあかんし、一人前にして独り立ちさせなあかんのやら、無事極楽浄土へ送りださなあかんのやらやらいるので今は無理やねんけど、いつか趣味三昧の道をまっしぐらしたらマニアになれるかも。「ミステリ小説+ミステリ映画+SF映画+アクション映画+コメディ映画」で頭一杯になって。そうなったら、人生単純で楽しいような気がする。でも年くってからでは無理でマニアって若い頃から精進しないとなれないんでしょうねぇぇぇ。だいたい、さぼてんにはこだわりってのもないし、論じたがる生物でもないし。
おすすめ度★★★★
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