1999年10月のミステリ
娼婦殺し Pentecost Alley
アン・ヘリー著 集英社文庫 567頁
あらすじ
1890年8月ロンドンのホワイトチャペルの安宿でエイダという娼婦が殺害される。自分の靴下で縊り殺されていたのだが、死体の両手足の指が折られるなど、嗜虐的猟奇的な殺人だった。
ヴィクトリア朝ミステリー、トーマス&シャーロット夫妻コンビ物第16作目。
感想
なかなかよかったんですが、なにしろ長い。3分の2くらいの分量でいいと思う。解決したかに見えた事件が、一転捜査が行き詰まりアーデモナイコーデモナイと100頁も思い悩むピット署長に、答えはコレしかないっと私が教えてあげようかと思いました。
おすすめ度★★★
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ヴィラ・マグノリアの殺人
1999年 若竹七海著 光文社 326頁
あらすじ
へんぴな土地ながら、前面に海が開けた住宅地「ヴィラ・葉崎マグノリア」の空き屋で死体が発見される。残り九軒は、老若男女のよく言えば”個性豊かな住人ばかり”なり。謎に挑む駒持(こまじ)警部補も住人にまけずおとらずのたぬき。というコージー・ミステリの体裁をとった本格ユーモア・ミステリ。
感想
シャレたコージー・ミステリはゾクゾクするほど好き。
読み始めた所で、登場人物が多い上、それぞれにいわくありげな過去もありで「このまま読み流すと、訳わかんなくなる。」という危機感を持つ。A4の紙に地図と住人のキャラを書き、本を読み進めながら事件のタイム・テーブルも書き込んでいきぃの、それぞれのアリバイも書きぃの、何度か戻って確認もしぃので読み終えるのに一週間かかりました。
その甲斐があり半分わかりました。まあ、私としては「よく頑張りました」の方。
それぞれの登場人物の書き分けもうまく、特に「手に負えない双子」は定番ながら面白い。一週間、十二分に楽しませてもらいました(^^)。
最初に違和感を持った事には、やはり訳があったという事で作者のフェアな姿勢に拍手! 軽い読み物と思ってなめて読むのは大間違い。実に色々工夫されている。
おすすめ度★★★★
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贋作館事件
原書房 1999年 426頁
感想
古今東西の名探偵が活躍する作品を当代の作家8人が贋作するという趣向の「マニアが泣いて喜ぶ」アンソロジー。
- ミス・マープルとマザーグース事件 村瀬継弥
- やはり、私はミス・マープル物が好きなんだと再認識。
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- ブラウン神父の日本趣味(ジャポニスム) 芦辺拓/小森健太郎
- 木を隠すなら森に物ですが、なかなかユニーク。
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- ありえざる客−贋の黒後家蜘蛛の会 斉藤肇
- 面白いちゃあ面白いアイデアかもしれない。シャレですな。
- ただ、さぼてん男から一言>「本にするに値せず。」(元ネタを知らないとまったく訳わからないと言うのが低評価の理由らしい)
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- 緋色の紛糾 柄刀一
- ゴルゴ13と同様、シャーロック・ホームズはパロディのターゲットになりやすいんですね。
- 一歩間違えばバカみたいといった所が。
- これは、なかなか面白かった。
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- ルパンの慈善 二階堂黎人
- 名探偵の肖像
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- 黒石館の殺人 <完全版> 小森健太郎
- 私、元ネタの事はまったく知らないのでなんとも言えません。
- が、美少女戦士というのが今日的でした。(というか昔からあったのですね)
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- 黄昏の怪人たち 芦辺拓
- なんというかねぇ。
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- 幇間二人羽織 北森鴻
- このドッペルゲンガー現象のトリックはわかったんです。
- 石ノ森章太郎著「さんだらぼっち」を読んでいたせいかも。
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- 贋作「退職刑事」 西澤保彦
- この作品が一番好きだ。単純な事ながら「ああそうか」と思わす所がさすが。
- 私はアレコレ論理たらをこねくりまわすより、こういう鮮やかな作品が好きだ。
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- 贋作家事件 斉藤肇
- 9編の贋作の贋作の中では、「ブラウン神父の基本−見えないはず」が元ネタの贋作「ブラウン神父の日本趣味(ジャポニスム)」をシンプルに一番よく生かしていると思う。シンプルという点では「むらさき」もよく出来ていた。
おすすめ度★★★1/2
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