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◆◆◆   道  明  寺   ◆◆◆
ど う み ょ う じ
   藤井寺市道明寺1丁目14番31号
     近鉄南大阪線・道明寺駅より西へ約
460m(山門まで) 徒歩約8分
                 土師ノ里駅より南東へ約400m
(東門まで) 徒歩約7分
     駐車場:2ヵ所有
(参道前・東門横)(参拝者用 台数少)
国宝観音の寺
 参道の両側にはきれいな色で垂れ下がる枝垂れ桜、右の標柱に
は「蓮土山道明寺」、左の石柱には「菅公御作・十一面観音」の
文字。毎年、4月初めに見るこの眺めが、私は大好きです。
 ここ道明寺は、葛井寺と並んでこの地域を代表する名刹です。
どちらも観世音菩薩を御本尊とする真言宗の寺院で葛井寺は国宝
「千手千眼観世音菩薩座像」、道明寺は国宝「十一面観世音菩薩
立像」が有名です。
移転した境内
 名刹であり古刹でもある道明寺ですが、実は現在の境内は
140
年ほど前にできたもので、寺の歴史に比べるとごく新しいもの、
ということになります。というのは、道明寺は明治時代の初めに
道明寺参道のしだれ桜と山門(南より)
道明寺参道のしだれ桜と山門(南より) 山号は「蓮土山」
  2018(平成30)年3月
   参拝や花見に来た人は、まずこの参道で足を止められる。
この場所に移転して来て、新たに境内を構築してきたのです。では、それまではどこにあったのでしょうか。同じ「道明寺」の名が付く今
の道明寺天満宮の境内が元の道明寺だったのです。つまり、お寺と神社が同じ境内に一緒に存在していたのです。「神仏習合」と言われる
もので、平安時代以来広く全国で見られる形態でした。神社の中に神宮寺
(宮寺)として寺が造られたり、寺の中に鎮守神として神社が造ら
れたりしました。道明寺と道明寺天満宮の場合は、古代の土師
(はじ)氏の氏神として「土師神社」が創建され、のちに氏寺の「土師寺」と習
合していったと考えられています。江戸時代には「河内道明寺」として知られるこの地域の有力寺院でした。
 明治初年に「神仏分離令
(判然令)」が新政府によって出され、神社から仏教的なものが一掃されるという事態になりました。この時、全
国で多くの寺院が廃寺となっています。存続できた寺院でも、神社からは分離させられて移転を余儀なくされた寺がたくさんありました。
道明寺もそういう寺の一つだったのです。
 江戸時代までの道明寺は、現在の道明寺地区となっている旧道明寺村の一村丸ごとの範囲を、寺領として幕府から認められていました。
村名が「道明寺村」となっているのはそのためです。村支配の主体は道明寺で、境内に共存した本社は土師神社でした。明治の初めに道明
寺が移転した後、元の広い境内全体が「土師神社」となりました。その後、習慣的に道明寺天満宮と呼ばれることはありましたが、正式に
宗教法人として「道明寺天満宮」と改称されたのは1952年(昭和27年)のことです。
 ちなみに、「土師」というのは、天満宮の祭神となっている菅原道真公の出身氏族が菅原氏を名のる前に「土師氏」だったことに由来し
ています。「道明」は菅原道真公の号だったという説もありますが、直接的な史料はありません。氏寺だった土師寺の寺号が道真公死去の
後に「道明寺」と改められました。 アイコン・指さしマーク「道明寺−藤井寺市の寺院・神社」      アイコン・指さしマーク「道明寺天満宮−藤井寺市の寺院・神社」
山門前参道のしだれ桜(南より) 境内大師堂脇の八重桜(北より)
山門前参道のしだれ桜(南より)  2024(令和6)年4月
    桜が背景の山門の姿や色合いとよく合っている。
境内大師堂脇の八重桜(北より)  2014(平成26)年4月
    静的な境内の中で、アクセントのように彩りを添えている。
静かな境内と桜景観
 道明寺の桜は山門前の枝垂れ桜がよく知られています。寺全体
21本の桜がありますが、ソメイヨシノは7本だけです。1本だ
けある濃いピンク色の八重桜が、靜かな境内の中でアクセントの
役目をしているかのように、存在を主張しています。
 道明寺の桜の本数は多くはありませんが、ここの桜景観の根強
いファンはけっこう多いと思います。山門や各仏堂、庭の石や燈
籠、常緑樹の緑など、境内を構成するものと桜の色が創る絵画の
ような景観が、私は大好きです。
 残念ながら、クビアカツヤカミキリの被害はここ道明寺にも及
んでおり、本堂の左にあったソメイヨシノは2023年に枯死してし
まいました。これ以上の被害が出ないことを祈るばかりです。
 花見だけのために道明寺を訪れる人はそんなに多くはありませ
ん。すぐ隣に道明寺天満宮という立派な桜名所があり、天満宮で
花見をしたついでに道明寺に立ち寄る、といった人が多いのが実
情です。天満宮の境内では、シートを広げて花見と飲食を楽しむ
家族連れやグループで賑わいますが、道明寺境内ではそんな場所
もなく、境内で宴会を見ることはまずありません。
 もともとがお参りの人が訪れる場所であり、普段はいたって静
かな境内です。桜のシーズンでも混雑するようなことはなく、ベ
ンチやお堂の縁側に腰掛けて、ゆったりした時間を過ごすのもい
いものです。
 お堂の前に動物の置物があったりして、古来の尼寺である雰囲
境内の本堂と庭の様子(南東より)
 境内の本堂と庭の様子(南東より)        2020(令和2)年4月
        桜と瓦の色がよく合い、石畳と整えられた砂模様が美しい。
  護摩堂・大師堂(中央)とソメイヨシノ(南より)
   護摩堂・大師堂(中央)とソメイヨシノ(南より)  2020(令和2)年4月
      少ないソメイヨシノがかえって印象的で効果的に見える。
   合成パノラマ
気をそこかしこに感じさせてくれる境内です。駅からも近いので、一度は訪れていただきたい桜名所であり、また、由緒ある古刹です。

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