我に返る
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スクリーンの世界とは、この世であり、 観察の対象 です。 「 独我論的体験」 でも述べましたが、私たちが観察の対象を認識するするためには、その対象を認識するための時間が必要です。観察の対象を感覚してから認識に至るまで、少なくとも 0.3 秒が必要だとされています。 スクリーンの世界とはこの世であり、この世とは観察の対象ですから、『唯我独尊』の「我」が認識する世界とは、常に 0.3 秒の過去にあるということになります。 観客席にひとりいる『唯我独尊』の「我」だけは、現在にいるのですが、スクリーンの世界を観て、その世界に自身を同一化しているために、実際には 0.3 秒の過去にあるのと同じことになります。 現在にいる『唯我独尊』の「我」が、現在にいる自身に気づかず、スクリーンの世界に自身を同一化しているかぎり、観察の対象と同じ世界にいることになりますが、スクリーンの世界が消えて、同一化していた登場人物がいなくなり、我に返ることで、「現在」という「悟りの場所」にある真実の自身を思い出すのです。
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