鋼の魂

 

その中の端末の一つにモンタギューが興味を示した。

「む、なにやら面白いデータがあるようだね、今後の研究のためちょっと見てもいいかな?。」

ウォルスにそう尋ねると、無言でうなずいた。

「では、オレとエステルはウルトを探します、エルノア、何かあったら、通信機で知らせてくれ。」

「えっとぉ、わかりましたぁ。」

喜々としてデータを見るモンタギューを残し、二人はその場から離れる。

各ブロックを確認しつつ進んでいく二人、エステルも特に何を話すわけでもなく、ウルトをさがしていた。

「あの時・・・・。」

ふいにウォルスが何の前触れも無く、口を開く、エステルはその場に立ち止まり次の言葉を待つ。

「え?ぁ・・・いや。」

ウォルスは『つい』口に出てしまったらしく、はぐらかとうとする、が。

「ミッション中に余計なことは考えねー方がいいんでない?、言いたいことがあったらさぁ、言ってみそ。」

ウォルスは『すぅ』と息を吸うと、もう一度口を開く。

「あの時博士が行った『その先』って、何なんスかね。

エステルは少し呆れた顔をした後クスクスと笑う、ウォルスは何故か恥ずかしくなり、耳まで赤くなる。

「エッ・・・エステルには、その理由が解るんスか?。」

半ば照れ隠しの強い口調に、エステルは再びクスクス笑うと。

「その先、ね、ん〜、たとえばさぁ。」

エステルはウォルスを真っ直ぐ見つめる。

「WORKSと天才君との関係〜とか、なんでウルトが軍部の人間といるのか〜とか、そもそもなんで・・・・。」

エステルはここまで言いかけると、『やっぱりやめた。』といった感じで、手をひらひらさせた。

「ちょっと、最後まで話してくださいよ、だいたい、依頼以外の事なんて知る必要無いじゃないですか?。」

ウォルスの言っていることは『ハンターズ』としては当たり前、模範的な事だった、しかしエステルはその言葉に不満気な顔を見せると。

「て〜わけ、ぼくこっち、キミむこう、ね。」

と、スタスタと歩いて行こうとする。

「エ、エステル?。」

ウォルスの呼び止めた声に一度だけ振り向くと。

「ウォルスちゃん、そりゃ面白くネ〜、つまんね〜考え方だ、少し一人で『キミの好きだって言ってた言葉』おもいだしてみ。」

そう言うとエステルは自分の示した通路に消えていった。

「なんなんだよ・・・・。」

エステルの後ろ姿を目で追いつつ、いぶかしげな表情と共にウォルスの心の中には霧のようなもやが、心地悪くかかっていた。

 

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