鋼の魂

 

 2・タイセツナコト

「ふう・・・ついたネ。」

トランスポーターから四人が出てくる、エステルはキョロキョロと辺りを見回した。

「博士、これからどうしますか?。」

ウォルスの問にモンタギューは。

「う〜ん、そうだねぇ、エルノア、ウルトを近くに感じないかい?。」

「えっ?え〜っとぉ・・・ゴメンナサイ、まだちょっとわからないですぅ。」

どうやらエルノアはウルトの『存在』を感じ取ることが出来るようだ、しかし一定の条件を、たぶん有効範囲内の中に限られたことだとは思うが。

「ウムム、しかたがない、奥に進むとしようか。」

四人はさびれた試験施設跡を進んでいく、もっとも、この場所も『あの爆発』以前には施設として機能していたのだろうが・・・・。

「この先には、僕の苦手な奴らがいるから、気が進まないんだけどねぇ。」

辺りを警戒しつつ進んでいくと、通路に人影が見えた、おそらく軍の監視役であろう。

「『WORKS』、ですか?博士。」

ウォルスは相手の確認と、今後の事、つまり、あの監視をどう切り抜けるかを確認したかった、しかし、モンタギューは逆にウォルスの言葉を待っている様だった。

「博士・・・・?。」

その態度に疑問を持ちつつも再度話しかける、モンタギューはウォルスのほうを『ちらっ』と見るとまた、視線を変えて口を開く。

「キミは・・・・『その先』には興味がないんだねぇ。」

「は?。」

予想外のモンタギューの言葉に思わず呆けたウォルスだったが、そんウォルスを気に止めることなくモンタギューは話を進める。

「見ての通りさ、あの監視役をどうにかしないとねえ、何か策はあるかい?。」

その言葉と同時にエステルが立ち上がる、そして無造作に監視役の方へ歩いていった。

「エステル?。」

そのあとに続くウォルス、無論そんな二人に気付いた監視役の男が、銃を構え近づいてくる。

「おまえら、ここでなにをしている!!。」

予想どうりの男の反応だった。

「いやあ〜助かったよ、通信機とソナーがイカレて仲間とはぐれちゃってさぁ、お兄さん、通信機かしてくれない?。」

エステルは男に近づく。

「止まれ、この区域は『WORKS』が調査するとハンターズにも通達したはずだ。」

エステルは怯むこと無くちかづいていく、ウォルスもそれに続いた。

「わかってるって、通信機使わせてくれたら、すぐにパイオニア2にもどるからさぁ〜。」

男は不満げな顔をしつつも、早く二人に何処かに行ってほしいらしく、しぶしぶ腰に下げた通信機をエステルに渡そうとする、そして、差し出した手が伸びきった瞬間、エステルは男の手首を掴み、ウォルスの方へ思いきり引っ張った。

「ゴッハァ!・・・あ・・・・。」

エステルに引っ張られバランスを崩した所に、ウォルスの膝がみぞおちにめり込み、男はその場に崩れ落ちた。

「ん〜、やるやん、ウォルスちゃん。」

「もう、『こういうこと』には慣れましたよ。」

エステルが立ち上がった時から、ウォルスにはこの結末が予想出来ていた、そして、また、ため息をつく、そんなウォルスを見て、楽しそうに笑うエステル。

「とりあえず・・・・行きますか、博士、エルノア。」

ともあれ、『WORKS』の閉鎖区域には進入した、やることはただ一つ。

「エルノアの姉、ウルト・・・か・・・。」

辺りを見回すウォルス、不思議と人の気配がしない、軍部の連中がいるはずなのだが、しばらく進んでも『なんらかの機材や端末しか見あたらなかった。

 

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