鋼の魂

 

「んで?なにやってんの?天才君?。」

エステルはモンタギューに問いかける。

「んふふ、話すのも面倒だし〜、君も一緒にこないかい?、報酬も二人分出そう。」

モンタギューの言葉に『これはウォルスのミッションか』と、理解したエステル、一応ウォルスに視線で了解を訪ねる、ウォルス的にはさっきの男といい『WORKS』といい、資料の文面に無い不確定要素、不安材料を感じていた、エステルなら万が一の時の戦力としては申し分無い、それ以前に依頼主の要望を断る理由もない。

「俺ならかまわないです。」

エステルがその答に微笑む。

「じゃあ、少しこれまでのことを説明させてもらおうかな。」

モンタギューはエステルに事情を説明しはじめる。

「あのぅ・・。」

ふいにエルノアがウォルスの背中をつつく、なにやらもじもじしつつも、何か言いたいようだ、ウォルスは急かす様子も無く、喋り出すのを待つ。

「ウォルスさん、お願いがあるんですぅ。」

関を切ったように喋り出すエルノア。

「わ、わたし、どうしてもおねぇさまを助けたいんですぅ、でも、わたしどうしていいのかも解らなくてぇ、わたしの力だけではどうにもならなくてぇ・・・えっとぉ、ちょっと待っててもらえますかぁ?。」

ウォルスに背を向け自分の体から何かを取り出す、そしてそれをウォルスに差し出す。

「これはマグの赤ちゃんなんですぅ、わたしにとってとても大切な物でぇ、これと同じ物をおねぇさまも持ってるんですぅ。」

『それ』をうけとったウォルスの口から当然の問がエルノアに向けられる。

「なんで・・・オレに?。」

エルノアはすこし考えた後。

「自分でも解らないですけどぉ、ウォルスさんならウルトおねぇさまを助けてくれるんじゃないかな?って、思ったんですぅ・・・・あの、仲良くしてあげて下さいね。」

エルノアの言葉は質問の答になってはいなかったが、少なくとも自分を信頼してくれている事だけはウォルスに伝わってきた。

「・・・・・・ん、解った、預かっておくよ。」

エルノアが少しはにかんだように見えた。

「おーい、エルノア。」

そしで、どうやら向こうの話もついたようだ。

「はーい、今行きますぅ。」

トランスポーターの方へ駆けていくエルノア、ウォルスは預かった『信頼の証』を大切に懐にしまった。

 

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