Fちいむ いん ぴーえすおー
森その1『どらごん狂想曲』

 

3・ドラゴニック・カプリチオ

「はあーぎっさん!!。」

セントラルドームの内部、人知れず・・・いや、知ってはいるのだが手が出せない状態、と、言った方が良いだろうか?トランスポーターの故障でドーム内に孤立した二人、そして。

「うあっちゃー!くそー!カワ、悪い、大丈夫か?。」

ドーム内にはそれこそ『夢』であってほしい光景、空想上の怪物『ドラゴン』が当たり前のように炎のブレスで二人を焼き殺そうとしている、たった今も激しい炎で溶かされた地面に足を取られた『ハギ』をかばい『カワ』のからだを炎がかすめた。

「つつ・・・平気だけど・・・ラスト、つかっちまった〜・・・・。」

アーマーの胸のスロットから円筒状のユニットが『パスッ』っと軽い音と共に煙を立てて飛び出した、『キンッ・・キッ・・カラカラ・・・・』転がっていく最後の『レジスト/ファイア』ユニットのおかげでなんとか耐えられた炎の攻撃も、次からは直に食らう事となる。

「カワ、手持ちで使えるものはあるか?ここまできたら・・・・。」

「戦うしかないかっ!!受け取れっ、ハギさん!!。」

次の炎と同時に左右に分かれ飛ぶ、瞬間、カワが腰に下げていた『テンペスト レイガン』を手渡し、自分は『コールド アサルト』を両手に構えた。

「右足っ!関節っ!。」

「胸の中心線っ!。」

互いに狙いを定め『小銃』『マシンガン』と思えない集弾率でドラゴンに攻撃を加える、しかしその箇所への攻撃はとてもダメージを与えているとは思えなかった、二人をあざ笑うかのように第二波の炎が襲う。

「ハギさん!!後残るポイントはっ!!。」

カワの声にハギが炎をかわしながら『コールド レーザー』に武器を変え答える。

「顔面!!あそこしかねぇっ!!。」

弾痕がドラゴンの首を駆け上がるように刻まれていく、そしてフォトンの弾丸がドラゴンの額をかすめた時。

「ギッシャアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!。」

今までとは明らかに違う反応を示した、ウィークポイントを見つけた二人はドラゴンに容赦無く攻撃を加える、しかし。
「ああっ!待て、テメェ〜!!。」

ハギの制止も空しく、ドラゴンは空中に逃げた、施設内とは言えセントラルドームは高く広い、しかしハギ達にとっても上空から死角になる場所がいくつかあったので、とりあえずその場所へ避難する。

「(このままじゃ・・ジリ貧だ・・・。)」

手持ちの武器、アイテムを確認しつつ、カワがため息をつく。

「(『あの爆発』に耐えたドームだ・・・さいじ達でもそう簡単には進入出来ないだろう・・・。)』

ふと、目が合う、お互いに沈んだ顔、最悪のストーリーを思い浮かべる。

「だめだな、悪い方にばっか気がいっちまう、ハギさん、あと十分で『助けが来る事にしよう』。」

限りなくマイナスのプラス思考、ハギが思わず吹き出す。

「来なかったら十分、さらに来なかったら十分、か?。」

コクッとうなずいたカワは『ライフル』を構えた。

「とりあえず『ダメモト』で行くかぁ。」

空中のドラゴンめがけて一発撃ち込む、遥か上空にドラゴンの叫ぶ声がこだました。

「おおっ、カワ、結構イケルッぽいか?。」

「ま、外の連中を信じて、ねばっときましょ〜かぁ?。」

仕方無く、互いに『諦める』のをやめてみる、再び武器を握る手に力が込められた。

 

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