第1章
3.光の守り手『シナリオ・ディライト』

『あいつ』が皇国に帰ってきて二年、いつからだろう?笑顔を見せなくなったのは・・・。

前皇が亡くなり、即位したころから、あまり会う機会もなく、そして今回の戦、この結果次第でセフィの皇位を剥奪しようとする文官達・・・・。

あいつが風のある日、よく、ヒクノの方を見つめ悲しげに微笑んでいた・・・。

いつか聞いたあいつの『親友』の話、『夏の夜風のように優しい闇を持つ少女』、そいつの話の時だけは笑っていたか?

・・・あいつの笑顔、奪ったのは・・・

ふがいない俺達か?

そいつが『話に聞いていたとうりのヤツ』なら・・・・俺は・・・謝らなくてはいけない・・・。

セフィとエルの『またね』から二年の月日がながれていた。

皇国に戻ってからのセフィは多忙を極め、お互い、いや、セフィのほうからの連絡は無くなっていた。

そして今は戦時下、セフィは女皇としての責務にいつしか感情さえ押し殺していた。

そんなある日、同盟国の『クーニセス』、セフィの叔父が治める国が反旗を翻した。

皇国の重臣達は指揮官に若き騎士団大将軍『レストール ヴィドウ』を始めとする『女皇派』の人間と、新兵中心の軍隊、だれの目にも『反セフィエラ派』の謀略だと解りきっていた、そして前線、皇国軍の前線駐屯地で・・・。

「まて、ディライト、指揮官として、お前を行かせるわけにはいかない!!。」

それまで静まり返った仕官用テント内から、男の怒鳴り声がきこえる

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