第1章
3.光の守り手『シナリオ・ディライト』

「たしかに・・・わが軍勢、ほとんどが新兵、だが、数ではこちらが勝っている、これは勝ち戦だ、なのになぜ・・・!!?。」.

ディライトはその『勝ち戦』という言葉に反応する。

「勝てれば・・・何人死のうがかまわねぇか?レス?。」

レス、レストールはその言葉とディライトの眼差しに言葉を失う。

「まだ、『自分が守るべき何か』も見えていないかもしれねぇやつらを・・・捨て駒にしてまで、勝たなきゃいけねぇか?。」

ディライトの言いたいことはレスにも解っていた、指揮をまかされているとはいえ自分の意志はそこに無く、中央からの命のみで進軍しているということ。

なにより『セフィエラ派、新兵』で構成された軍隊、『反セフィエラ派』にとっては、邪魔な『理想に燃える若き騎士』や、まだ皇国内で力を持つ『武官』を『減らすため』、負け戦ともなれば『国民』を味方に付け、セフィエラを糾弾するだろう。

まさに反セフィエラ派にとってはセフィエラを失脚させるのにうってつけの戦という事になる。

「なにも、『一人で全てを』ってわけじゃねぇさ、敵の先発隊三千騎、それだけなんとかすりゃあいいだけだ。」

微笑みとはうらはらにディライトの瞳には揺るぎ無い覚悟が灯っていた。

「・・・・お、俺も一緒に・・・。」

そう言いかけたレスの言葉を遮る。

「お前は『指揮官』なんだぜ?、俺の後ろで敵本隊の相手をするのはお前だろ?、それに・・。」

「それに?。」

「お前に何かあったら、ジョゼとサジェスが悲しむ。」

レスは若いながらも妻子を養っていた。

「!!!ディライト、おまえだってー!!。」

「いいんだ、俺は『剣』になるんだ、『あいつ』のために。」

あまりにも透明な笑顔をみせるディライト。

「いまの俺なら相手が神でも問題ねぇよ。」

それ以上レスは何も言えなかった。

「無理・・・・するなよ、ディー。」

「その呼び方、ひさしぶりだな。」

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