第1章
2.幼年期の終り

「ふう・・・・しかし、二年経ってもこの『獣道』だけは慣れないのう・・・。」

初めて出会ってから、二年間欠かさずかよった親友の家、それを何度となく阻んできた獣道、しかし今日だけはいつもより長い道のりであることを願っている自分がいた。

「見えてきた・・・か・・・。」

いつものようにラキオが家の前で薪を割っている、そしてセフィに気付くといつものように手を振る。

「おはようセフィ、エルならいつもの場所だよ。」

セフィもいつものように小屋の裏にまわりいつものようにその場所を目指す、『いつものように』『いつも』、楽しい時間の中にいる時は『それ』が『永遠』と思ってしまう。

「(この坂を越えたらっ・・・。)」

森の中に響く乾いた木と木がぶつかる音、お手製の木偶に向かい剣を振るエル、セフィは息を整えて。

「早くから精が出るのう、エル。」

その言葉に振り返るエル、いつものように、いや、いつもとはちがっていた。

「どうしたのじゃ、エル?。」

エルは木剣をほうりなげセフィのほうへ駆けてくる。

「なんで・・・なんで泣いているの?セフィ。」

驚いたように頬を伝う涙をぬぐう、何で自分が泣いているのかセフィには解っていた、顔は笑っていた、でも抑えきれなかった、『永遠が終わる日』悲しいのは親友と別れるから。

「すっすまぬ、あれ、とまらぬ・・・少しだけ待っててくれ、そうすればいつも・・いつもどうりに・・・。」

必死に涙を止めようとするセフィ、エルは少し考えた後。

「てやっ!!。」

セフィをその場に押し倒した、何が起こったか理解できないセフィにエルは笑顔で空を指さす。

「悲しい時は空を見ろってね、お父さんが言ってた。」

朝も開けたばかりの青い空、セフィは少し楽になったような気がした、気付くと止まらないと思っていた涙も止まっていた。

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