第2章『戦い続けるのにもってこいの理由』
4.<いつかそこまで>

ガクガクと震えるカチュア、息を殺し耐えるもその頬には痛々しいほどの大粒の涙が伝っていた。

「ああ、そうそう・・・いまわの際に最愛の妻が天に召されるのもじっくり鑑賞していただきました、まぁ・・・『サービス』と言うやつですかな・・・・。」

「あ・・・ああ・・・うぁ・・ああああああああああああああああっ!!!!。」

たまらず耳を手で覆い泣き叫ぶカチュア、ツキヤは悲しみに押し潰されそうなその小さな体を見つめ、自分が問うた事に後悔した、と同時に傍らに激しい憤りを感じた。

「それ以上カチュアを泣かせるな。」

アナがオーウェンに歩み寄っていく、しかしオーウェンはアナの言葉など気にもせず口を開く。

「おや・・その娘が・・・それはそれは・・・しかし、両親の最後を知れたのですから・・・むしろ感謝して欲しいものです・・・。」

アナを挑発し続けるオーウェン、しかしツキヤは憤るものの落ち着きも共有し、『気力』が高まっていくアナを感じていた。

「なんとなく理解できた、あんたの話、つじつまも合うよな、知らなかったのは俺、村のみんなも知らないところできっと俺を支えてくれていた、カチュアも、少しは感じていたさ。」

奪った鋼の剣をオーウェンに突き付ける。

「殺された人達、俺のせいでもあるよな、悔しいよ、あんたを殺してやりたいほど頭にきてるさ、でも・・・。」

ツキヤは『気力』と同時にアナの中にもう一つの力を感じとった。

「いなくなった人達は戻らない、だからせめて、あんたを叩きのめして、カチュアや村の人達に謝ってもらう、その償い切れない罪、少しでも償ってもらう!!!。」

アナが振り返りカチュアとツキヤを見つめる。

「お前が倒れるまで手はださねぇ、が、倒れることはゆるさねぇ、ブッ倒してこい、アナッ!!。」

ツキヤの言葉と同時にオーウェンの魔力も膨れ上がる。

「しかたありませんな、わが魔力でその心砕き、私のための繰り人形になってもらいましょう!!!。」

『今、この瞬間』なら、アナの敗北は明らか、しかし。

「アナの『ロスト』が・・・・目覚める。」

ツキヤがそうつぶやくと同時にオーウェンがアナの先制の一撃に弾き飛ばされた。

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