第2章『戦い続けるのにもってこいの理由』
4.<いつかそこまで>

「倒した・・・・ツキ・・・。」

アナはまだ、ぼぅっとツキヤと『オーウェンの亡骸であろう物』をみていた。

「始めて使ったが・・・・『この業にこの剣ありき』ってとこか。」

ツキヤ自身も始めて使う剣の性能に驚く、奇妙な沈黙の中カチュアが二人のもとへ駆けてきた。

「カチュア・・・・・・。」

アナが、『現実』に引き戻されたようにカチュアの方を向く、そしてカチュアが何かを言おうとするのを押し止めるように口を開く。

「見てたか?カチュア!!すげぇよ!!あの竜の堅い鱗を・・・首を一瞬で切ったんだ!!あれが英雄の、これから語り継がれていくツキヤ=サクライの力なんだ!!。」

カチュアはそう言って目を輝かせるアナに少しだけ悲しい目をした、しかしそれを悟られぬよう、相づちをうつ。

「うん・・・ツキさん・・すごかったね、アナ。」

アナはツキヤを見上げた。

「いつかオレも・・・『その場所』に・・・いくん・・・。』

「おっとぉ!!!。」

何の前触れも無く、くずれおちるアナをカチュアと共に支える。

「すり減らした緊張の糸が今切れたんだろ、カチュア、テ・・あ、『家』で休ませてやろうぜ。

カチュアが微笑みでそれを了承する、そして立ち上がった、と、そのとき。

「ツキさん!!。」

カチュアが指をさした方向には、躯が急激に朽ちていく『オーウェンだった物があった。

「・・・竜堕しは、結局最後にはああなっちまうんだ。」

ツキヤが『それ』に近づいていく。

「こうまでしたコイツの求める物って・・・本当に『権力』だけだったのか?。」

ふいにツキヤは崩れていく亡骸の中に光る『石』のような物を見つけ、それを拾いあげる。

「(ブースター(魔力増幅器)?しかもこの公式はたしか・・・。)」

ツキヤが黙り込んでしまったのでカチュアが困ったような顔をする、それに気づき、ツキヤはカチュアの頭を撫でて、この場をはなれることを促した。

「なにはともあれ・・・・終わりだ、カチュア。」

辺りで気を失っていたオーウェンの手下もいつのまにか姿を消し、森に静寂が戻る。

1ページ戻る    序章へ