第2章『戦い続けるのにもってこいの理由』
2.<英雄候補>

森の中を歩くというのも一人より二人、三人のほうが楽しい、誤解も解けて少年と少女『カチュア』と共に二人の住む村を目指す、月夜は『さっきの事』『あの眼差しの理由』を聞こうとするが、どう切り出していいか解らなかった。

「そういえば、お前の名前は?。」

とりあえず名前を聞く事から始める。

「俺の名前は『タチアナ=フェブバーグ』『アナ』って呼ばれてる、こっちは『カチュア=ワノール』。」

カチュアは恥ずかしそうにアナの隣から小さくおじぎをする。

「タチアナ(月下草)かぁ、イイ名前もらったな。」

「そうなのか?俺は本当は女の名前みたいで嫌なんだけど。」

そう言いつつも悪い気はしてないようだ、人は自分の名前に少なからず『誇り』を持っているものだ、月夜の言葉に少しずつ二人の緊張は解けていく。

「なあ、アンタ、生徒院の騎士なんだろ?、やっぱりあそこって入るの難しいのか?。」

アナはさっきから『生徒院』の事を聞きたくてしかたなかった、月夜も『それ』は感じていた。

「『生徒院出身』だ、それと俺の名前は月・・・。」

月夜は少し考えてから。

「『ツキ』だ、そう呼べよ、アナ。」

とりあえず『名前』を隠しておく、基本的に『面倒は御免』だ、名前を明かした時、村についてからの事を考えると・・・それにせっかく『友達になった二人』に『特別な目』で見られたくなかった。

「なあ、ツキはいつごろの卒院なんだ?。」

アナが間発入れず質問してくる。

「あ?あぁ、え〜と、一、二年前かな・・・。」

その言葉にアナは目を輝かせる。

「じゃあ、ツキは『あの三人』と同じころに生徒院にいたんだな!!!。」

『あの三人』たぶんそれは。「一年前の・・・・か?。」

「ああ!!英雄の『血筋』、ヴィドー家の中でも歴代最強と言われている『サジェス=ヴィドー』、百の魔法剣、千の精霊魔法、万の高位魔法を操る『エステル=ラティ』そして・・。」

アナは見た目でも解るようにかなり興奮していた。

「そして、多くの『魔竜』を一撃のもとに切り伏せた大陸最強の剣士『ツキヤ=サクライ』俺の・・・俺の目標とする『聖騎士』・・・・。」

完全に自分の世界に入っているアナの隣で月夜は顔を真っ赤にしていた。

「(まいった・・・さすがにコレは・・テレるぜ・・・・。)」

そうこうしている内に目の前に小さな集落が見えてきた。

「あそこ・・・あたし達の村・・・。」

カチュアが小さい声でそう言った。

「つづきは家でなっいこうぜ、ツキ、カチュア!!。」

アナとカチュアが走り出す、月夜はとりあえず、自分の聞きたい事は後回しにして二人を追いかけた。

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