第2章『戦い続けるのにもってこいの理由』
1.<小さな出会い>
・・・・その後、さいじの口からエステルの予想どうりゼスタを『消し』に来た者がいることを聞く、そして三人は『一年間』かけて、全ての謎を解くための準備をしようと約束した。 ・ 「ふう、さってと、いくかあ!!。」 残りの『米酒』をかたずけ、立ちあがろうとした時、少し離れたところに人の気配を感じた、近くに村でも在るかも知れない。 そう思いその方向へと歩いていく、しばらくすると人影が見えてきた、そこには一心不乱に木剣をふるう男の子と、その様子を黙って見ている女の子の姿が在った。 「お〜い、おまえら、この辺りにくわしいかぁ?」 そう言いながら近づいていく月夜、しかしその少年は月夜を、いや、背中の大剣を見ると。 「カチュア!!走れ!!。」 と、少女の手を引き月夜から逃げ出した。 「(おいおい・・・・なんなんだよ・・・。)」 とりあえず二人を追いかける、そして手前に回り込み、もう一度話しかけた 「なあ、べつに取って食おうって訳じゃ・・・。」 「カチュア!!逃げろ!!村まで走るんだ!!。」 少年が手に持っていた木剣を構える。 「(まいったな・・・・・。)」 月夜が対応に困っていると少年が切りかかってきた、しかし月夜はその木剣を片手で掴んだ。 「くっ!!離せぇ!!離せよぉ!!。」 月夜はため息をつくとその手を離す、少年はその場にしりもちをつき、それを見た少女、カチュアは少年をかばうように二人の間に割って入る。 「なにやってんだ、カチュア!!早く逃げてくれよ!!。」 しかしカチュアは涙目になりながらも首を横に振り月夜を見上げる、その様子を見て月夜は背中の大剣を抜いた、二人はその行動にさらに脅えた、月夜は大きく息をすって・・・。 「おおおおおおぉぉぉ!!!!!!!。」 地響きとともに月夜の大剣は地面に突き刺さった、いや、突き刺したのだ、そしてその場にすわり、二人と同じ目線で話す。 「これでいいか?。」 その『力技』に数秒二人は呆然としていた、しかし我に帰ると今度は少年がカチュアと月夜の間に入りがなるように言い放つ。 「お前、ヒクノの騎士か?!!。」 その瞳には憎しみにも似た感情が取って見えた。 「・・・・・・だとしたら?。」 その返答は意地悪だったのかも知れない、しかし月夜は少年の『瞳の理由』を知りたかった、その為の返答だった。 「絶対に村なんかに入れるもんか・・・お前ら騎士なんて・・・・・絶対に・・。」 少年の瞳は月夜に真っすぐ向けられ続けた、これ以上は『追い詰める』事になる、そう月夜は判断した、そして精いっぱいの笑顔を二人に向ける。 「がきんちょ、騎士なのはたしかだけどよ、『生徒院』出身のハーヴベルヌのフリーランスさ。」 この大陸において『騎士正生徒院』出身者は、ある意味二人くらいの年齢の子供には『ヒーロー』のような存在である、案の定それを聞いた二人は安堵の表情を浮かべその場に崩れ落ちた。 |