第2章『戦い続けるのにもってこいの理由』
1.<小さな出会い>

その女性、エステルは話を続ける、いつものおどけた様子は無く、この事件『封印戦争』の起こした『張本人達』の仮説を月夜に大まかに。

「戦争なんて『おまけ』みたいなものさ、第一、『竜』が完璧に『目覚めて』いたら・・・ぼくらじゃ・・・。」

月夜も『そのこと』には納得していた。

「ああ・・・勝つどころか・・・。」

エステルの観たところ、六匹の竜は封印を解く際、『力と記憶』の大半を封じられていたという。

「たぶん『ジアゼル』の魔導師でも『精神支配』できるように、第一あの国にぼく以上の『使い手』はいなかったろ?。

エステルがそう言って微笑む、しかし眼差しは依然真面目なままだった、少し考えてから月夜が口をひらく。

「もう一つ・・・・強力な勢力があるってことか?。」

その問にエステルは首を横に振る。

「いや・・・・・二つ・・、一つは『封印竜』を解放した者達、もう一つは、さいじを襲った奴ら。」

「まてよ、さいじはゼスタ・・・竜にやられたんじゃ無いってのか?。」

エステルは少し頭の中で自分なりの『仮説』を整理していた、あらぬ方向を見つめて、そしてまた月夜の方に振り返る。

「竜の力はそれぞれ大差はないよ、ぼくやさくちんの受けたダメージはもう回復してっけど・・・さいじの『あれ』は・・・『純力』、あいつじゃなきゃ、跡形、それこそ髪の毛ものこんねぇよ。」

『純力』、それは『究極の力導』と言い、純粋無属性の力、魔法でも再現可能だが、それこそ『ロスト・ハイ・スペル』クラスであり、『普通の人間』には不可能な領域の力なのだ。

「さらに『そいつ』はかなりの『手加減』をしている、もしぼくが『魔法』で同じことをしたなら、周囲三千キロは『爆縮』であとかたものこらねぇ。」

月夜はその時初めて『そいつ』の恐ろしさに気づいた。

「つまり、それほどの『力場』を当たり前のようにコントロールできる奴が『敵』なのか?。」

エステルがうなずく。

「『敵』かどうかはわからねぇ、さいじは『生き終わらなかった』しな、でも・・・このままじゃ終わらねぇと思う、そいつの目的も『封印竜が守りしロスト』・・・残りの勢力が持ち去ったな。」

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