その日、空は雲一つなく、まだ夜が明けたばかりだというのに日差しが強く顔に突き刺さった、いつもなら、まだ寝ている時間、しかし、今日のサジェスはすでに終えた旅のしたくの後、住み慣れた屋敷を後にし、首都正門前まで来ていた。
「いよいよ、か、ヴィレオとも、しばらくお別れだな。」
街のほうを振り返り、中心にあるヴィレオ城を見つめる、東西にそびえ立つハーヴベルヌの象徴とも言えるべき塔、自分の守ってきた美しい城、そして、、、、、。
「ソニア様、行ってまいります。」
守り続けたかった大切な人、全てを置いていくという事に後悔はないと言えばうそになる。
しかし!!
今は、この国のため、そしてソニアのため、自分の出来ることをする、そう決意したのだ。
「さてと、まずはヒクノだな、ゆっくり進んでも二日で着くだろう。」
そうつぶやいた一瞬の出来事だった、『ゴオオォォォン!!』と、城の方で大きな音が鳴り響いたかと思うと、城の西塔が崩れていく。
「なっ・・・・ええっ!!?。」
あっけにとられるも首都正門から城へ真っ直ぐのびる道を走り抜けていく、城にちかづくに連れ、数十名の自警団に追われている女の子がみえる。
「サジェス!!」
その女の子は魔法で自警団を牽制しながらサジェスの方へ走ってきた。
「紅い髪・・・・ソっソニアさまあ!?。」
合流しさらに二人で反対方向に走り出す、サジェスは混乱しつつもどうしてこうなったのかソニアに尋ねる。
「自警団だけではない、これから聖騎士団、魔法兵師団も追ってくるぞ、覚悟をきめい、サジェス。」
ソニアはそう言うとぺろっと舌をだした。
「余がおぬしに付いていくに当り、父皇どのが『課題』を出したのじゃ。」
再び正門前までたどり着き少し息を整える、サジェスには聞きたいことが山ほどあった、自分にソニアが付いてくる?
そんなことが許されるのか?
そもそもなんで軍に追われている?
しかし屈強な精鋭ぞろいの『ヴィレオの戦士』達は、その暇すら与えてくれない。
「サジェス、しばしの間、足止めせいっ!!。」
そう言うとソニアは呪文の永唱をはじめる。
サジェスもひとまずこの状況をおさめる事を優先させソニアをサポートする。
「無ヲ真トセザレバ有モマタ真ナリ、久遠ヲ超エ永遠ヲ超エソヲ望ムナラバ至高ノ光、我ノ剣トナラン!。」
その呪文にサジェスは驚きを隠せなかった。
「高等呪文!!こっ殺す気ですかあ!?」
ソニアはまるで子供が遊んでいるかのように微笑むと。
「サジェス!!退けいっ!!『アスタライト(真に白き世界)』!!!。」
白く輝く閃光が自警団に襲いかかる。
「ハーッハァ!!その程度では余は止められぬぞ、命を賭してかかってこぬかあ!!!。」
サジェスは開いた口が塞がらなかった、しかし、それ以上にソニアの強さに驚いていた。
「さあ、いまの内じゃ、行くぞサジェス。」
二人は国境へ一番近い道を走り出した。