振り返ると、そこには年のころ十四、五くらいの少年が立っていた、薄暗く、それでいて少し肌寒い洞窟に、その少年は余りにも『不自然』だった、半ばあっけにとられていたサジェスのほうを見て少年は冷たく微笑む。
「いや・・・知ってはいけないんだ。」
次の瞬間、強烈な殺気と共になんらかの力がサジェスを吹き飛ばした。
「(こいつは・・・敵だ!!。)」
そして『ロスト』を解放する、だが、さっきまで、いや、あの一瞬の殺気が嘘のように消えていた、そして・・・。
「役目は・・・果たした・・・。」
と、言い残し、少年は『消えた』。
ゆっくり立ち上がるサジェス、あたりに不気味な余韻が残る。
「『レヴィテイション(空間転移)』・・・しかし、役目・・・?。」
次の瞬間サジェスの目に信じられない光景がひろがる。
― 狙いは、ゼスタだった。 ―
あの殺気に乗じて、ゼスタを『生き終わらせていた』、知らなくていいことのために殺されたのだ。
― 何か、大切な事のはずなんだ、ゼスタが言いかけた事、少年が知られたくなかった事。―
ベットに横たわり、旅の目的を考える内に、外はもう夕闇に覆われていた、立ち上がり窓の外をながめる、そして最後に、あの二人の言ったことを思い出す。
「一年・・だな、早い方がいいぜ。」
咲雷には、何か『見えた』ようだった。
「この世界にとって、大切な事ってね、まあ、なんとかなるサ、いや、しなきゃな、さいじ。」
エステルはなにかに『気づいた』ようだった。
夜風をうけ、サジェスは決意する。
「明日旅立とう、この国の・・・ためにも、なるはずだから・・・・。」