「どうするんだ!あそこに行くのか?。」
グディが誰とも言わず尋ねた、その問いにレラが焦りを帯びた声で答えた。
「あれは・・・・あのクラスの『魔法』は・・・危険・・いや、あれは『禁呪』、『純粋な破壊衝動』、エステルさんに、親友に『殺人』をさせる訳にはいきませんわ!!。」
『殺人』という表現にグディ、カッツェが息を飲む、『事故』ではなく『殺人』と言った意味、頭の整理が付かないままの二人にミヤビとレラが手を差し伸べる。
「行くわ、付いてくる?急ぐわよ。」
頷くまでも無く手を握る、と、同時に『破壊』という名の『式』が成った。
「あ・・・・・・・。」
瞬間、初撃でサジェスが吹き飛ばされた方向にその『力』が集中して放出された、その黒い嵐は周りの地面をえぐり、粉砕し、稲妻は木々を焼き払った。
そして数分たった後、先ほどまで青々としていた森が『焦土』と言えるほどに変質していた。
「・・・・・飛ぶわ、いくわよ。」
ミヤビたちが飛び立っていくのを見て、月夜も気だるそうに動き出す。
「私も飛びますが・・・・ご一緒します?。」
月夜と同じくこのような状況でも、冷静だったマリアが手を差し出す、月夜は『ニッ』っと笑って。
「サンキュ、でもそっちのやつ頼むわ、あそこなら『飛んだ』ほうが早い。」
と、リュークを指差した後、屋上から飛び降り、落下途中、学塔の壁を蹴り森へ飛び込んだ、マリアはころころと微笑みその様子を見送って。
「「『受ケヨ創世ノ盟約、天恵ノ・・・・』。」
リュークの手を取りつつ、式を組み始めた。
先に飛んだ五人がその場所に着くと、まず感覚を支配したのは稲妻で焦げた地面と木々の匂いだった、恐る恐る歩くと、視界に一人、焦土と化した森に立つ『この惨状の原因』エステルだった、俯いたまま肩で息をしていた、皆一様に声をかけることも出来ず数分、月夜が追いついた。
「ん・・・・・・。」
エステルがそれに気付いたようにそちらに歩いてくる、なぜか解らないが月夜以外は猛獣の檻に閉じ込められたかのように緊張していた、目の前に来て一呼吸、エステルと月夜が同時に息を吐く、深呼吸にも似た行動、そして会話が成る。
「悪りぃ、メンドクセーことやらせた。」
月夜がそう言うとエステルが顔を上げる。
「うぬぼれテンネー、ま、いいけどさぁ、で?聞きたい事、アルカナ?。」
見た者を引きつけるいつものエステルの笑顔、場の空気が一気に和らぐ。
「えすてる〜@。」
ミィが首に手を回して抱きつく。
「ミ、ミラーシャ!!あなた・・・離しなさい!!離れなさい!!。」
エステルにじゃれ付くミィを引き剥がそうとするレラ、いつもの光景に皆一様に脱力する。
「エステル・・・さん、サジェスは?。」
カッツェが尋ねる、実際面識は無かったので敬語になっていた。
「エステルでいいよ、ん、向こう。」
エステルが指を刺したが、確認は出来なかった。
「副隊長とイーリが初めから近くで見てた、多分今頃治療を受けてるよ。」
「そうか・・・・・・。」