旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2003年4月26日(土曜)

「首都圏・春の駅弁ガイド'03」

春は、新作駅弁の季節です。
それというのも、4月10日が「駅弁の日」。
各業者は、この日にあわせて新しい駅弁を発売する傾向があります。
また「季節限定」の駅弁を狙ってみるのも面白いですね。
今回、横浜・大船・小田原・千葉の
新作駅弁、春の駅弁を取材してまいりました。

■東海道本線・横浜駅




横浜の駅弁は、ご存知、シウマイの「崎陽軒」です。
崎陽軒は、新しいシウマイ工場が完成したばかり!
この春のイチ押しは、「横濱チャーハン」(520円)と、
「おべんとう・春」(580円)の2つ!




シウマイ弁当と並んで、人気の「横濱チャーハン」がリニューアル。
(かつて「やきめし」と呼ばれていた頃、頂いた方も多いのでは?)
さすが崎陽軒、「冷めても美味い」チャーハンです。




「おべんとう・春」は、5月いっぱいまで発売。
味だけでなく彩りもいいお弁当です。
どちらかといえば、女性向きかも。


崎陽軒ホームページ

■東海道本線・大船駅



大船駅は、「大船軒」が駅弁を販売しています。
(駅弁膝栗毛・昨年12月)左から「湘南・磯の浜ごはん」(780円)、
「鎌倉四季の味・春」(900円)、「鯛ごはん」(680円)。




「磯の浜ごはん」は4月25日に、「サザエの浜ごはん」を
リニューアルして発売となりました。




「鎌倉四季の味・春」は、6月頃までの発売。(予定)
上品な幕の内に仕上がっています。




「鯛ごはん」は、3月にリニューアル発売されたばかり。
よくある「でんぶ」が乗ったものではないところに好感。




掛け紙の裏側には、すごろくがあるんですね。
東京〜久里浜間の横須賀線が載っています。

そして、地元の奥様方に人気なのがこちら!







「鎌倉いなり」(380円)です。
中味は、季節に合わせて「旬」の素材を使っています。
「ココのお稲荷さんを買わなきゃダメなの!」
そんなことを言いながら1度に2〜3箱、
買い求めていく奥様が目立ちました。

■東海道本線・小田原駅



小田原駅は、東海道線で最も古い駅弁業者である
「東華軒」が駅弁発売元です。(駅弁膝栗毛・昨年10月)
春のお薦めは、「赤飯弁当」(1000円)と、
「小田原ちょうちん釜めし弁当」(900円)です。




小田原駅が3月末にリニューアルオープンしたのを
記念して発売になったのが「赤飯弁当」です。
赤飯を使った幕の内で、結構ボリュームがあります。




「小田原ちょうちん…」は、だいたい「山菜五目ごはん」といったところ。
バラエティに富んでいて、飽きない味です。

東華軒ホームページ

■総武本線・千葉駅

房総の玄関・千葉駅は「万葉軒」が駅弁を売っています。
(駅弁膝栗毛・昨年9月)
千葉の季節限定駅弁は…?




「潮干狩り弁当」(735円)!
やはり、千葉ならではの駅弁ですね。
ゴールデンウィーク明け、5月11日までの限定発売です。




アサリ+ショウガ+海苔の3つの味が、
素晴らしいハーモニーを奏でています。
量も多くないので、食べやすいでしょう。




販売員の方もオススメ!

万葉軒ホームページ

このゴールデンウィークは、曜日配列の関係などで、
近場へお出かけになる方が多いと予想されています。
小さな旅のお供に、「春の」駅弁はお薦めですよ。



2003年4月22日(火曜)

北陸へ春を見つけに出かけました。
今回は、JR北陸本線・金沢駅です。




加賀百万石で有名な金沢は、北陸の中心地。
東京・名古屋・大阪各地からのアクセスが充実しています。




駅弁売場は、各ホームと改札の外にもあります。
改札の外の売場は、北陸本線・各駅の駅弁も販売しています。
ですから、金沢駅の駅弁を食べたい場合は、
「金沢駅オリジナルのものですか?」と確認した方がいいでしょう。
基本的には「大友楼」さんの駅弁が、金沢駅オリジナルです。




「利家御膳」(1000円)と「特製牛肉弁当」(1000円)です。
金沢では、この2つを押さえるところから始まります。




「利家御膳」は、前田利家をはじめ、歴代の藩主が城内での宴席の折に
食されていた献立を元に、現代風にアレンジしたお弁当なんだそうです。
加賀の郷土料理、「治部煮(じぶに)」が入っているのがいいですね。
ちなみに割箸の袋には、
歴代の前田家の藩主の名前がプリントされています。




「特製牛肉弁当」は、赤身を残したまま仕上げています。
食欲をそそる、レベルの高さですね。
以前は、「能登和牛弁当」という名前でしたが、
BSEの影響で、能登和牛が使えなくなってしまい、
今の名前になったということです。




前田利家の奥さんといえば…、
ドラマで有名になった「まつ」ですね。
「利家御膳」だけでなく「おまつ御膳」(900円)もあるんです。




やはり女性を意識したものか、ちらし寿司ベースで、
華やかで「軽めに」仕上がっています。




こちらが金沢駅の新作弁当、「かに御膳」(1350円)です。
名古屋からの特急「しらさぎ」に
新型車両が投入されたのを記念して、3月に発売されました。




かにめしに、かにシュウマイ、カニの天ぷらと、
まさに「かに尽くし」!
カニの色々な味わいを堪能できますよ。

金沢の街は、昔から京の影響を大きく受けていたこともあって、
上品な街に感じるものです。
金沢の駅弁も街同様、「上品に」仕上がったものが多いように思いました。

※参考〜金沢駅の高額駅弁
金沢駅は、完全予約制の高額な駅弁があることでも有名です。
「玉姫弁当」は3500円、「加賀大名弁当」は5000円、
そして、「加賀野立弁当」は、なんと10000円!
ふらりと駅に立ち寄って、買うことが出来る駅弁ではありませんが、
興味のある方は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
(予約電話番号・大友楼の料亭)076−221−0305

■旅のワンポイント〜「兼六園」を歩く

金沢に行ったら、ぜひ歩きたいのが「兼六園」。
水戸・偕楽園、岡山・後楽園と並ぶ「日本三名園」の1つです。




観光客向きの路線バス「城下まち・金沢周遊バス」です。
金沢駅東口の「0番」乗場から、
日中は、毎時0・15・30・45分と、
15分おきに出発しています。1回乗車につき200円。
1日乗り降り自由のフリーパスが、500円でオトクです。




バスを「兼六園下」で降りて、
階段を上ると、兼六園の入口(桂坂口)です。
入場料は、300円かかります。




ここが、記念写真の撮影スポットです。
入口からすぐに着きます。
(たいてい皆さんシャッターを押しているので簡単に分かります)
「霞ヶ池」をバックに、石灯籠を入れつつ、撮影しましょう。




有名な「根上の松」です。
そういえばゴジラ・松井選手の故郷、根上町(ねあがりまち)も、
金沢市の近くでした。




何ていうことない「噴水」のように感じますが…、
「日本初」の噴水なんだそうです。
1861年完成ですから、
もう140年以上も、水を吹き上げ続けていることになります。




4月上旬に訪れた時、兼六園の桜は、まだ「咲き始め」でした。
中でも、よく咲いていたものをアップでご堪能ください。




兼六園で見つけた春…、「ゼンマイ」です。
庭園の中に生えているものですから、
決して、摘んで煮付けにしてはいけません。

兼六園をあとに、金沢駅から能登半島方面へ、
JR七尾線に乗ってみました。




特急列車通過待ちの間のワンショット。
ホームの横にある、田んぼの「あぜ」には、
「土筆(つくし)」がいっぱいでした!

単線区間の各駅停車ですと、行違いや特急待ちなどで、
10分以上、停車することがザラにあります。
そんなときは、ホームに降りてみると、
面白い発見があるかもしれませんね。



2003年4月14日(月曜)

前回の長野駅から北上、新潟県上越市に入ってきました。
今回は、JR信越本線・直江津駅をご紹介します。




直江津は、信越本線と北陸本線が合流する駅。
駅からしばらく行くと、直江津港もあって、
佐渡へ船も出ている交通の要衝です。
東京からは、上越新幹線・越後湯沢乗換えで、
だいたい2時間半弱といったところです。



ここ数年できれいになった直江津駅前です。
「ホテル・ハイマート」と「ホテル・センチュリーイカヤ」が
並んで建っています。実は、この2つのホテルは…。



どちらも、直江津駅の駅弁販売業者なんです。
今では「ホテル」になっていますが、かつては「駅前旅館」。
駅前旅館が「駅弁」を作る、歴史的にはごく自然なことですね。
手前が「ハイマート」の売場、奥が「センチュリーイカヤ」の売場です。
直江津駅は、固定の販売場所はなく、各ホームや改札付近で、
台車を使った販売が行われています。
販売員さんは、たいてい1〜2名で、
列車が発着するホームを行き来しています。



「ハイマート」「センチュリーイカヤ」それぞれ、
イチ押しのお弁当を紹介していただきました。
ハイマートは、「鱈めし」(1020円・左)。
センチュリーイカヤは「鮭の押寿司」(1050円・右)です。




これが「鱈めし」。鱈を素材に使った駅弁は、初めてですね。
見た目が小さいので「これで1020円も?」と一瞬思いましたが、
食べて納得!鱈の煮付け&タラコがいいです。




一方、「鮭の押寿司」。似たような駅弁は多いですが、
レベルの高さを感じました。
「今すぐ食べればお刺身感覚、お土産なら違う味わいが出るよ!」
私がもう1つの駅弁を持っているのを見かけた販売員さん、
セールストークもなかなかです。




「親子にしん」(750円・ハイマート)です。
販売個数は、「1日20個程度」限定とのこと。
朝8時頃なら、大丈夫でしょう。




甘いにしんの煮つけと、ピリ辛の数の子の「親子」が、
いい味を出しています。




「かにずし」(840円・ハイマート)。
北陸線・信越線など、日本海沿岸の路線には、
「カニ」を素材に使った駅弁が、各駅に1つはあるものです。




錦糸玉子が入って、彩りも鮮やか。
単調になりやすい味わいの中で、
酢とレモンの酸っぱさが、食欲をかき立てます。




「謙信公お立ち飯」(1050円・センチュリーイカヤ)です。
上越・春日山城は、上杉謙信の居城でした。




謙信が、出陣の前に振舞った「ご馳走」にちなんだ駅弁です。
鱒の「塩」焼きは、「敵に塩をおくる」にちなんで。
「毘」の文字が入った蒲鉾は、もちろん「旗印」からです。

日本海沿線で唯一、2つの駅弁業者が競合する直江津駅。
駅弁に関しては、ハイレベルな駅です。


■旅のワンポイント〜高田城と前島密

新潟県上越市は、城下町・高田と港町・直江津が、
昭和46年に合併して生まれた街です。
直江津駅から長野方面へ2駅乗ると、高田駅に到着します。




JR高田駅です。
久しぶりに高田駅に来たと思われる人が、
「えっ?いつからこんなにきれいになったの?」と
話していましたから、駅前が改装されたのは最近の模様。




復元された「高田城・三重櫓」です。
高田城は、天守閣のない城だったそうで、
この三重櫓が、事実上の天守閣の役割をしていたそうです。
高田城一帯は、高田公園として整備が進み、
「夜桜」が美しいところです。
詳しくは「ギャラリー」のページへどうぞ。

さて、高田が生んだ明治の偉人の1人に、
「前島密(まえじま・ひそか)」がいます。
前島密とはどんな人物か?簡単に説明しますと…、
・郵便事業の創業…「日本・郵便の父」といわれます。
・江戸遷都を薦めた…大阪に行きかけた首都を東京に。
・鉄道敷設計画を立案…新橋〜横浜間の鉄道を計画。
・新聞事業の創業…今の「報知新聞」の元となる会社に協力。
・陸運・海運の創業に努力
 …郵便創業で苦境に陥った「飛脚業者」を集めて今の「日本通運」、
  また「日本郵船」の元となる会社の創業に協力。
・東京専門学校の発展に協力…今の「早稲田大学」の2代校長に。

こうした偉業をまとめたのが「前島記念館」。
前島の生家があった場所に建っています。




高田駅から「くびき野バス」でおよそ20分。
駅前通りのバス停から、30〜1時間おきに出ています。




銅像が、入口脇に建っています。
ここは「逓信総合博物館」の分館という扱いで入館料は無料。
気軽に見ることが出来ます。
なお、開館時間は9時〜16時。月曜日が休館日です。




記念館の前には、前島密を記念した「郵便局」もありました。
郵便の父の前でも、やはり「真っ向サービス」ですかね。

今年は、郵政公社がスタートするなど、郵便にとっては節目の年。
あまりに価格が高く、時間がかかった江戸時代の飛脚に対し、
「安い・速い」というのが、郵便スタート時のコンセプトでした。
それから130年余り経って、今の郵便…、これからの郵便は…。
色々な思いが頭をめぐる、前島記念館訪問となりました。

さて次回は、直江津から親不知海岸を通って西へ。
北陸・金沢を訪ねます。





2003年4月2日(水曜)

”牛に引かれて善光寺…”とよく言いますね。
その長野・善光寺、今年は7年に1度の「御開帳」の年。
4月6日から5月31日まで行われます。
そこで「駅弁膝栗毛」も、JR信越本線・長野駅を取り上げます。




東京からは、長野新幹線で1時間半あまり。
あっという間です。




長野駅の駅弁は、明治21年創業の「ナカジマ会館」が作っています。
在来線の売場は、改札を入ってすぐの場所と、
特急「しなの」号が発着する6・7番線です。
もちろん売場は、新幹線ホームにもあります。




「きじ焼丼」(1000円)と「笹ずし」(740円)です。



20年の沈黙を破って再発売された「きじ焼丼」。
「もう1度食べたい!」という声に後押しされたようです。
こげ目つきの鶏肉に、そぼろもたっぷり。
この味なら「復活」も納得です。




こちらは「笹ずし」。
白身の「信濃雪鱒」と赤身の「信濃紅鱒」の押ずしです。
白身にはレモン、赤身にはしそが挟まって、アクセントをつけています。
36時間、保存がきくようですので、お土産でもいいでしょう。



お腹に余裕があったので、もう1つ。
「山菜栗おこわ」(820円)です。




3年前に食べた時と、容器が変わっていました。
竹篭に入って、食べやすくなっています。
もち米の粘り気は、数ある駅弁の中でも相当なものです。

新幹線の「始発駅」として、豊富な駅弁を誇る長野駅。
東京までの1時間半あまり。
駅弁の余韻に浸っている間に着いてしまうことでしょう。

■旅のワンポイント〜善光寺参り&野沢温泉・外湯巡り

長野市・最大の名所、「善光寺」。
長野駅からは歩いてもいい距離ですが、少々上り坂になります。
バスに揺られていくのが一番かも。




「善光寺大門」までなら、運賃は100円!
10分ほどで到着します。バスターミナルの1番乗り場へ。




仲見世を歩いていきます。お土産品のほか、
「おやき」や「そばまんじゅう」を売っているお店が多いです。




山門には、すでに「善光寺御開帳」の看板。
多くの参詣客を受け入れるための準備が整いつつあります。




有名な善光寺の本堂ですね。国宝に指定されています。
面白いのは、仏様が真正面ではなく、
やや「左にずれた」位置に鎮座していること。
これは、いわゆる「西方浄土」の考え方で、
より「ご利益があるように」という意味をこめてあるそうです。
また500円を払うと「戒壇めぐり」が出来ます。
真っ暗闇の中を歩く「修行」の1つなんだとか。
意外と面白いですよ。




善光寺は「おみくじ」のバリエーションが、豊富です。
普通のおみくじに、「恋みくじ」「招き猫おみくじ」に
「血液型おみくじ」までありました。



再び、長野駅へ戻って、4番線停車中の
JR飯山線のディーゼルカーに乗り込みます。
目指すは戸狩野沢温泉駅。1時間ほどの旅です。




列車から望む千曲川です。
飯山線は、この千曲川に沿って走るローカル線。
信越線の豊野と上越線の越後川口を結びます。
千曲川は、新潟県に入ると信濃川と名を変えます。
全長367キロ、日本一長い川です。




戸狩野沢温泉に到着。のどかな駅です。
ここからバスで野沢温泉(25分・300円)へ向かいます。




野沢温泉は、外湯が充実していることで有名です。
しかも、13の外湯・全てが無料!
古くから村の「湯仲間」という制度によって維持管理され、
どこも清潔な共同浴場でした。
画像の建物は、外湯のシンボル「大湯」です。




「大湯」の浴槽は2つあり、手前がぬる湯、奥があつ湯です。
泉質はアルカリ性の硫黄泉。
もう湯の花だらけで、いいお湯です。



こちらは「河原湯」。大湯から歩いて1分ほどのところですが、
泉質が微妙に違っています。




も1つ「松葉の湯」。ここは源泉の温度が他より20度以上高く、
地域の人は、大幅に加水して入っていました。
どの外湯にも、さい銭箱があって仏様が祭られていますので、
お湯の恵みに感謝しながら、お参りするのもいいでしょう。

◆善光寺御開帳&野沢温泉に便利なきっぷ
御開帳に合わせてJR東日本では、
その名もズバリ「善光寺御開帳フリーきっぷ」が発売されています。
戸狩野沢温泉もフリー区間に入っていますから、
私が今回歩いた区間は、ほとんどこれ1枚でOKですね。
http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=425
ただ、野沢温泉に足を伸ばす時は、列車・バスが少ないので、
野沢温泉村のホームページで「時刻表」をチェックしておきましょう。
http://www.vill.nozawaonsen.nagano.jp/