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起こってしまったものはもう、誰の手にも止められなかった。 反乱と言う名の正義。 迎え撃つ痛み。 揺るぎない信頼の崩壊。 それでも自分は黄金の聖闘士。 拒むことも放棄することも許されない。 あの夜、教皇に謁見したミロは分厚い仮面を見つめていた。 いつもと変わらぬ口調で淡々と発せられた言葉。 それでも彼は動揺していたのかもしれない。 手が震えていた。 ミロは見た。 伝えられたことは自宮に留まって待機するようにと、ただそれだけだった。 だが、ミロには大いなる意志とそれを守る小さな小宇宙が聖域に向かっていることを感じていた。 他の黄金聖闘士も分かっているはずだった。 誰もそのことを言う人間はいなかった。 言ってはいけない暗黙の了解だった。 そして、それはやって来た。 女神は本物だった。 ミロは消えてしまった小宇宙を求めて宝瓶宮に向かった。 |