華の宴

カニの講談



 えー。本日はお日柄もよく・・・。あっ、名前言ってなかった。どもども仁八です。嵯峨野の旦那に頼まれて講談することになりやした。
 講談ってーと、最初に口上があるよな、確か。ああ、学がないのがバレちまう。おいらは現場専門なんで。(関係あるのか!?爆)今、誰かの突っ込みが聞こえてきたような。ま、それは置いといて。えっと、なんだっけ?ああ、そうそう!!あの二人ね。伊勢と小次郎ね。俺もさ、よく知らねえんだよなぁ。え、詳しくしゃべらなくていい?あ、そう。かいつまんで話すんだな!!そんだら、口上から!!え?口上は要らない?何だよ、嵯峨野の旦那!!ちっとは俺も読者の皆さんにアピールしてぇンだよ!!旦那は知らねぇだろうが、俺ぁ、蟹座なんだよ。(知ってるよ。爆)蟹座ってぇのは人気者なんだよ。あ〜、こんなことやってっから時間がなくなっちまったじゃねえか。バカヤロウ。
 女は吉原、男は葭町ってのが昔ッからの相場だが、その葭町にもいねえほどのべっぴんさんが伊勢で、奴さんを慕ってンのが小次郎だわな。俺だったら、女がいいなぁー。いや〜、小次郎さん硬派だね。ついでだが、嵯峨野の旦那も伊勢にやられてんだ。(爆)くらくらするって言ってなかったけな?あ、言ってない?失礼しやした。

 そんでさ、昔ッから、伊勢は目を付けられたりしてたらしいぜ。藩主がわざわざ見に来たりなー。あわよくば我がものにってなぁ。うひょ〜。オヤジ趣味じゃねえか。(爆)現代じゃ、そりゃ、犯罪って言うんだろ?俺の出番だぜ。あ、でもこの場合、現場はちょっとヤバいかもな。俺、失神するかも知んねぇな。(爆)
 あっ、話がそれちまった。ごめんごめん。それで、その伊勢を昔ッから見てきたのが小次郎だな。まー、男ばっかの世界だからそうなるのかもしんねぇが、なんせ、この御時世、女子は少ないしな。女子の神隠しとかもあったりしてなー、俺ら大変なんだよ。そいでその小次郎は出奔した伊勢を追っかけてきたんだよ、江戸によ。伊勢が出奔したのも、藩主絡みらしいぜ、どうやら。江戸に二人っきりになっちまったら、小次郎さ、もう自分のものにしちまったらしいぜ。詳しくは話せねえよ、人の濡れ場なんて。(爆)苦手なんだよそういうの。あっ、後で小耳に挟んだけどさ、伊勢、女ともやったことがねえらしい。(爆)マジかよ、そいで小次郎にやられたんだって。くー、悲しいねぇ。硬派だねぇ。困ったらさ、おいらが紹介してやるよ。すこぶるつきのイイ女。あ、いらねってか?

 あ〜、嵯峨野の旦那のこと、言うの忘れてたぜ。それがさ、嵯峨野の旦那、お二人さんがやっちゃったすぐ後に伊勢と会ってやんの。ホントに偶然かい?(爆)ねらって行ったんじゃねーだろーなぁ?俺ぁ、そうとしか考えらんねーよ。(爆)タイミングよすぎるよ。旦那、あんな顔してそおいうことばっか考えてんだから。おっと、睨まれた〜。ちょっと、ヤバい。今日はここまでにしとくよ。悪ぃな。また今度な。




第七章へ | 小説TOPへ | 次へ

'99.3.12
Gekkabijin