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翌日は休患日だった。事務処理が残っていたミロはプライベートルームで仕事をしていた。 今日のカミュは着替えが間に合わず、ミロが渋々与えたアフリカの丈の長い、白い民族衣装を着ていた。 ふと手を休めて、ベッドの端に座っていたカミュを舐めるように見た。 ・・・後にも先にも、出会わないだろう。 ミロはペンを置くと、立ち上がった。 カミュは無言で近付いてくるミロを、目で追っていた。 ずっと一緒の部屋に居たのに、なぜか緊張した。立ち上がったカミュはミロの目に射抜かれて、金縛りにあったように動けなかった。 ミロはカミュに近付いてちょっとだけ腰に手を回すと、啄むような口付けをした。何度も。だんだん間隔が長くなっていく。 そして手が動き始める。 細い腰を、撫でた。指先には乱暴さの欠片もない。カミュはいきなり体温が上昇した。 自分でも訳のわからない現象に戸惑い、恥じらった。 いつの間にか息が荒くなっている。ミロは、そんなカミュの顎から首筋にかけて口付けを進めていった。 腰に回されていた手は、今は長衣をたくし上げ、太腿を撫で回している。 甘い声が出ないわけはなかった。 「あ・・・」 力が抜けて立てなくなる。ミロはそっとカミュを押し倒した。上手に服を脱がせると自分も脱いだ。 ミロはカミュを俯せると、腰を引き上げた。臀部を突き出したような格好になったカミュは、足を広げられた。 ズキズキする。 傷が付いて痛いわけではない。催淫物質はもう残ってはいない。 ミロはカミュの回復した媚肉に舌を入れようとした。刹那、くぐもった息が、そこに当たる。 「ん・・ふ」 深い息がカミュの鼻から抜けた。 柔らかい湿った、ざらつく物体。 官能を引き出すように、押したり引いたりしながら根元の太いところまで、ぐいぐい入り込んでくる。 指とは違い、力の渡りが均一ではない、その感触に溶けそうになってしまう。 「ぁあ」 普段とは違う声。サインが出た。 ミロは後ろから思いきり突いた。 「あああっっっ!!」 カミュは上を向いて叫んだ。ちょうどその位置にミロの顔があった。 突く時に出る、ミロの吐息が耳に当たった。体温が上がるカミュにさらに追い打ちを掛けるように、熱い風は送られて来た。 ミロは支える手を片手だけにすると、カミュの腹を強い力で撫で上げた。 カミュから咽び泣くような声が出た。 「んあぁっ、いやぁ・・・やめて」 中に入っているのがはっきりわかるほど、張っていた。 ミロはその感触を指先から感じ取る。こんな奥まで入っている・・・。その行為はカミュを追い詰めた。 「あぁっ、やめて、許して」 感じたことのない、追い詰められた感覚。 涙が、頬を伝って落ちた。 ミロはカミュの髪をかき上げ、項にしゃぶり付いた。 「っぁ・・・ふ、ぅ・・・ん」 上から、下から沸き上がる感覚に目眩を起こし、五感が鈍る。 気付いた時には、涙の代わりにだ液が落ちていた。 ミロは緩く腰を回した。 「い、やぁ・・・」 息を吐き出しながら、聞こえてくる淫靡な声。ミロを性急にさせる。 抽送が速くなる。 その速さと、カミュの声が噛み合わなくなって、時々喉の奥が鳴る音がした。 ミロは繋がったままのカミュを、無理矢理仰向けにした。 一瞬だけ・・・一瞬だけカミュと目が合った。 濡れて潤った目。脳裏に焼き付く。 お前の、強い目はどこへ行った? いつものあの目は・・・! ミロはカミュの膝を抱え、さらに追い打ちをかけた。 突く間隔をわざと乱した。 いつ来るかわからない刺激に、カミュは怯えた。 「だめ・・・」 もうすぐやって来る。 自分をだめにする感覚が。 すべてを否定して自分を変えてしまう感覚。 「ぁぁあああ!!」 カミュの波動が極限に達する直前、ミロは口を開いた。 「お前と取り引きだ」 上擦ってもなく、浸っている声でもない。 こうでもしなけりゃ、お前に堕ちていくばかりだ・・・。 「してほしいか」 カミュは思考がまとまらない。しかし、身体は欲しがっていた。最後のそれを。 「お前を売るのは、止める。そのかわり、」 息を吸い込む。 「俺を受け入れるなら、一生俺のものになるなら」 カミュは待っていた。 「お前の望み通りにしてやろう」 言い終わらないうちにカミュは応えた。 「・・・し、て・・・!!」 すべてがどうでもよかった。ただ待っていた。 ミロはすべてを放った。 それは無防備になったカミュの心を掠め取っていった。 心が、持っていかれる!! 「いやああああーーーーっ!!」 カミュの身体は反り返り、波打っていた。 ミロはカミュを抱いてやりながら、変貌の瞬間を見ていた。 それ以外には何も見えなかった。 |