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数分後、飛び出していった水夫が戻って来た。息を切らしながら叫んだ。 「おい!!ビルをどうした!!」 続けて閉じ込めた水夫も走り込んで来た。 「これを見ろ」 一同が振り返る。その水夫の手にはねっとりと人の血が付いていた。 カミュは何も答えない。まるでそれが当然であるかのように表情を変えなかった。 「この野郎っ」 一人の水夫が手をあげて殴り掛かろうとした。しかしそれはカミュを睨み続けていた 水夫によって妨げられた。 「待て」 他の水夫が彼を見る。 「もっといいことを思いついた」 そういうと水夫はカミュを見て、こういった。 「傷つけるには惜しい顔をしている」 もう一回口を開く。 「俺たち何ケ月も御無沙汰でな・・・」 水夫たちの目は取り付かれたようにカミュを見ていた。口は薄ら笑いを浮かべて・・・。 薄汚れた部屋に暗雲が漂い始めた。 時化は船を揺らす。 黒い影は獰猛に容赦なく攻撃し、傷つける。拷問にも似た行為は彼の体を確実に変化させた。 カミュの顔は苦痛に満ちていた。 |