2月24日 カヤ日記 in 福井 

 2/23(日)、「中池見湿地総合学術調査報告会」が、福井県敦賀市で開催された(毎日新聞記事)。

 中池見湿地は、昨年末、大阪ガスのガス基地計画中止が発表され、それを受けて、敦賀市長から、中池見湿地を自然公園として保存しようという指針が打ち出されるなど、今、自然保護関係者の間では、今後のなりゆきが非常に注目されている場所だ。

 中池見湿地学術調査は、既に「第一次」「第二次」の調査報告書が発行されているが、今回これに第三次の報告を加えて「中池見湿地総合学術調査報告書」として刊行されることになった。今回の報告会は、それに合わせたものだ。私も、第3次学術調査のメンバーとして関わっていて、今回の報告会で、哺乳類チームを代表して発表することになった

 今日の敦賀は、ポカポカと暖かく、コートを着ていると汗ばむほどだった。こんな絶好の観察日和なのに、カヤネット関係の仕事が押していて、午前中はぎりぎりまで原稿書きに追われ、中池見に立ち寄る時間が無くなってしまった。自分の手際の悪さに内心舌打ちしつつ、足早に会場に向かう。

 午後の講演は、既に始まっていた。出迎えて下さった中池見湿地トラストの方々と、短い挨拶を交わす。席に着くと、机の上の真新しい本の上に書かれた、「中池見湿地総合学術調査報告書」の文字が目に飛び込んできた。隣席の、トラスト事務局の笹木智恵子さんに、小声で「報告書、出来たんですね!」と声をかける。

 「報告書」は400ページもの分厚い本で、手に取ると、ずっしりと重みがあった。これは、学術調査隊のメンバーひとりひとりの思いが詰まった重さだ。そう思うと、調査に尽力された全ての人に対して頭が下がるとともに、このような意義のある学術調査に、執筆者という形で名を連ねることを許された誇らしさと感謝の気持ちで胸が一杯になった。

 肝心の発表だが、一般の参加者が多かったので、結局用意していた原稿は参考程度にして、今回の報告書のデータを示しつつ、カヤネズミや巣の写真も取り混ぜて、出来るだけくだけた雰囲気で話を進めた。カヤネズミのことをよく知らない人にも、とても興味を持って貰えたようで、発表後は、会場から質問責めにあった(笑)。「これまで気づかなかった。今度から注意して見てみます」という声もあり、嬉しかった。

 その後の懇親会では、中池見湿地トラストの方々と、カヤ談義で大いに盛り上がった。また、河野昭一先生に、「畠さん、ドクターいつ取るの。早く取りなさい。これ(報告書)なら、論文3つくらいすぐ書けるよ」と励ましていただき、ひたすら恐縮しつつ感激だった。

 昨年の、大阪ガスの基地計画白紙撤回と、それに続く、敦賀市の中池見自然公園化計画の発表という、中池見湿地の保全をめぐる180度の大転換。この展開は、中池見湿地トラストの方々の地道な努力無しには、あり得なかっただろう。

 まだ課題は残されているが、この歴史的な瞬間を間近で体験できることの喜びを感じつつ、私も微力ながら、カヤネズミを初めとする中池見の生きものたちのために、今後も力を尽くしたいと思っている。