ビニールクロス下地の場合

以下のようなクロスは剥がして施工しましょう。
厚手(発泡)のもの
気温の変動による伸縮が大きく、仕上げ面に小ヒビが入る恐れがあります。
コンクリートに直貼りされているもの
タッカー留めができないため、将来、クロスごと剥がれる恐れあります。
汚れの付着がはげしいもの
汚れが要因となって、壁剥離の恐れあります。
天井面の古いクロス
天井は汚れが付着しやすい場所であり、その汚れを除去するのが困難です。
剥がれかかっている箇所が多い
施工後、仕上げ面がコブのように浮く恐れがあります。
カビが下地のボードにまでおよんでいる
カビを確実に殺菌するのが困難です。
下塗材〈NGU〉に反応して異臭を放つもの→チェック方法は下記参照
下塗りをせずに〈ペーストタイプ〉で仕上げる方は、この項目は無視してください。

ビニールクロスを剥がして施工する方法(プラスターボード下地)はこちら

ビニールクロスを剥がして施工する方法(コンクリート下地)はこちら


ニオイが出るクロスかどうかのチェック方法

1.

カッターでクロスに切れ目を入れる(約20センチ角くらい)

2. クロスを剥がし取る

(2枚用意する)

3. クロス面を濡れ雑巾で清掃する
4. .剥がしたクロスの1枚には
下塗材〈NGU〉を塗って乾燥させる。もう1枚はそのまま。
5. 上記3.で用意したものを、それぞれレジ袋かニオイのしないポリ袋などに入れて密封する。
6. 1〜2日後に、袋の中のニオイを嗅ぎ比べる。
壁材を塗ったクロスからわずかでも異臭が出ているように感じたら、クロスを剥がして施工しましょう。
※ニオイが出ないクロスの場合は、剥がしたクロス片は元の場所に木工用ボンドなどで貼り直しておきます。

【ビニールクロスの上に施工する手順】

カビが生えている場所があれば、消毒用エタノールを刷毛でたっぷりと塗って拭き取り、しっかりとカビを殺しておきましょう。
〈エコ・クィーン〉自体にはカビが生えませんが、カビが残っていると仕上げ面に引き出してきます。

1.施工面にあるコンセントやスイッチ、照明器具を取り外す
▲コンセントのカバープレートを取り、壁に固定しているネジをゆるめてはずします。コンセント器具を壁から引き離します(配線はつながったままです)。ネジを少しゆるめて壁から5ミリほど浮かせた状態にしておいてもかまいません。
▲ネジを紛失しないようにするため、上の写真のようにはずしたネジを金具に差し込んでからカバープレートをかぶしておきましょう。
▲壁から引き離したスイッチプレートが壁に触れてしまう場合は、このように段ボールで支えるようにしておくと施工のじゃまになりません。
2.クロス表面の汚れを拭き取ります。

中性洗剤を水で50〜60倍に希釈し、雑巾で油分や汚れを拭き取ります。

3.ファイバーテープを貼ります

貼る場所はクロスの継ぎ目と端、そして、窓・ドアなどの開口部の隅です。
ていねいに作業しましょう。初心者の方の場合、ところどころテープが浮いていたり、よじれたりしていることが多いです。仕上げ面に影響を与えることになりますので、テープはしっかりと密着させてください(ステンレス製のスクレーパーがあれば、それで押さえて密着させたり、また、ファイバーテープを切ることもできるますよ)。

▲これがファイバーテープ。グラスファイバー製のテープです。90m巻と150m巻のものが販売されています。10m巻のものもあるようですが、非常に割高ですので、ホームセンターやインターネットでさがしましょう。日本ケイソウド建材株式会社でも購入できます。
▲クロスの継ぎ目・端にファイバーテープを貼っているところです。このお宅では、入隅(奥まったコーナー部)もクロスの継ぎ目でしたのでファイバーテープを貼っています。テープが浮かないように貼りましょう。入隅に貼るときのコツは、片側の面にテープの半分を貼った後、指先でコーナー部に密着するようテープを押し込み(写真)、そして、もう一方の面に密着させます。
▲窓・ドアなどの開口部の角にもファイバーテープを貼って補強します。開口部の四隅はクラックが入りやすい所です。
4.タッカーでクロスを壁に固定します。

ビニールクロスは可塑剤成分が徐々に抜けて固くなり、反って剥がれやすくなります。クロスの接着剤も弱くなっていきますので、しっかりとタッカーを打っておきましょう。18平米で2000発ほど打ちます。

▲クロスの端と継ぎ目は10センチ間隔以内でタッカーを打ちます(写真は少し間隔が広いかも)。タッカの針が浮いた所は金づちなどで押し込んでおきましょう。
また、クロス全面にも写真のようにタッカーを打ちます。
写真に写っているタッカーはプロ用で、7000円ほどします。プラスターボード下地であれば、500〜1000円のホビー用のタッカーでも打てます(合板下地だと打ち込めません)。ホビー用タッカーは本体価格は安いですが、「針」の価格が高いです。

5.養生作業を行う

床や柱、窓、ドアなど汚してはいけない場所を養生シートやマスカー、マスキングテープを使って養生します。
予想以上に時間と手間がかかる作業です。あまく見てはいけません。

※施工面の周囲にマスキングテープを貼るときは、壁材の施工厚み分を残して貼ります。
・ペーストタイプの標準施工厚=1.5mm
・粉末タイプの標準施工厚=下塗材1mm+仕上材2mm=計3mm

※粉末タイプを使う場合、ていねいな施工を目ざすのであれば、マスキングテープ貼りを、下塗り用と仕上げ用に分けて行うのがいいでしょう。

6.水性シーラーを全面に塗る

作業中〜乾燥までは換気をしましょう。

▲塗る道具は、水性用刷毛1本だけでも大丈夫でが、初心者におすすめなのは『コテバケ』です。コテバケなら、刷毛なしで際もきれいに塗れますし、シーラーの使用量も最少限で均一に塗布できます。ビニールクロス下地には特におすすめです。(上の写真は水性用ローラーバケです)
ゴム手袋をしましょう。
▲ローラーバケを使う場合は、刷毛で際を塗っておき・・・
▲ローラーバケの最初のひと塗りは、壁面の場合は下から上へ、天井面は手前に向かってやさしく動かすこと。押さえつけすぎるとボタボタとシーラーが落ちてしまいます。かるくローラーをころがしましょう。ローラーバケでもコテバケでも、必ず縦方向と横方向に動かして、塗り残しがないよう均一に塗りひろげます。
7.シーラーを乾燥させる

「シーラーの乾燥時間は夏で3時間、冬で6時間」と説明書きにありましたが、クロスの柄の凹部にシーラーが溜まるほど厚塗りした場合は、乾くのに時間がかかります。手で触って確認してください。(厚塗りする必要はありません)
シーラー塗布作業完了から壁塗り作業にかかるまでしばらく日数をおいてもだいじょうぶです。ただし、その間に汚れ(タバコのヤニ、蚊取り線香の煙など)が壁に大量に付着すると、それが仕上げ面にアクとなって出てきますのでご注意ください。

8.壁塗り作業にとりかかります

・ペーストタイプ(PS、PZ)を施工する方は、仕上げ塗りにとりかかりましょう。

・粉末タイプ(NSR、NZ、NSZ)を施工する方は、下地塗りをします。下塗材NGUを水練りして、施工面全面に施工します。
下塗材NGUが白く乾いたら、仕上げ塗りをします。

※下塗材NGUが白くならなかった場合、つまり、下地の汚れがアクとなって出てきた場合、そのまま仕上げ塗りすると仕上げ面にアクが出てきます。有機物系のアクは、〈エコ・クィーン〉の光触媒効果等で分解が進みますが、粉末タイプの仕上材の場合、完全に消える保証はできません(お茶のシミで実験してみると9割がた薄くなるのですが、ペーストタイプのように完全に消えませんでした)。
アクを止めるには、シーラーを全面に塗って、乾燥後、再度NGUを施工してください。