【クロスを剥がして施工する方法】

●プラスターボード下地の場合●
1. カビが生えている所がないかチェック。生えていたら殺菌します。

カビが生えている場所があれば、消毒用エタノール(薬局で売っています)を刷毛でたっぷりと塗って拭き取り、しっかりとカビを殺しておきましょう。クロスの裏側もチェック!石こうボードの中にまでカビが入り込んでいるようであれば、消毒液をたっぷり染みこませて確実に殺菌します。
〈エコ・クィーン〉自体にはカビが生えませんが、カビが残っていると仕上げ面に引き出してきます。

2. 施工面にあるコンセントやスイッチ、照明器具を取り外します。
▲コンセントのカバープレートを取りはずし、壁に固定しているネジをゆるめてはずし、コンセント器具を壁から引き離します(配線はつながったままです)。ネジを少しゆるめて壁から5ミリほど浮かせた状態にしておいてもかまいません。
▲ネジを紛失しないようにするため、上の写真のようにはずしたネジを金具に差し込んでからカバープレートをかぶしておきましょう。
▲壁から引き離したスイッチプレートが壁に触れてしまう場合は、このように段ボールで支えるようにしておくと施工のじゃまになりません。
3. 養生・マスキング作業を行います。
4. クロスを剥がします。
壁にはクロスの下紙が残ります。
※細かなクロスの粉が舞いますので、換気をよくするか、マスクをした方がいいかも知れません。
▲貼って間もないクロス剥がすのは楽です。でも、古い住宅の場合はクロスが固くなっていて引っ張るとすぐ途中で切れると思います。スクレーパーを上手に使って剥がしていきましょう。
5. 壁に残っているクロスの下紙を剥がします。
『スチームクリーナー』をお持ちの方はお使いください。楽にめくれるそうです。連続使用可能な『スチームクリーナー』を買うとなると5万円前後します。

茨城県のDIYチャレンジャーKさんは“アイロン”を使ってとてもきれいに剥がせたそうです(プロも驚くほど)。「アイロンの熱で水がすぐ蒸発するので、水を多めに与えるのがコツ」だそうです。ただ、剥がし終えた後、アイロンは壊れてしまったそうで、「高価なものは使わない方がいい。安価なアイロンを買って使うように」とのアドバイスをいただきました。

※クロス貼りに使われているのりは、温度を上げるとやわらかくなりますので、冬に下紙剥がし作業をするときは、水ではなく、熱めのお湯を使うといいでしょう。少しずつふやかしながら、冷めないうちに剥がすのがコツ。

▲プラスターボード下地に残っている下紙に水をたっぷり与えます。刷毛やローラーバケ、コテバケを使って2回くらい水を塗りつけましょう。
1〜2平米ずつ水を与えては剥がしていきます。
▲下紙が水で十分ふやけた時期を見計らって剥がします。水の与え方が足りなかったり、ふやけるまで待たずに剥がそうとすると剥がしにくいです。
アイロンやスチームクリーナーを使うときれいに剥がせるそうです。
▲クロス剥がし失敗例。クロスを張り替えていて、下紙が2重に残っていました。おまけに冬の寒い現場で、のりが固くて、ボードの表面の紙もいっしょにめくれるしまつ。水ではなく熱湯を使ってふやかせば、まだましだったかもしれません。プラスターボードの中の灰色の紙が現れてしまいました。灰色部分の紙は薄いものが何層にも重なってできています。できれば、ボードの表面の紙は残したい・・・。
▲「あ〜ぁ・・・」ボード表面の紙もほとんどめくれてしまいました。
剥がした後、仕上げ面に出てきそうなくらい浮いている紙は指でつまんで取り除いておきます。

どうやっても、こういう状態になる方のために、手抜き方法をご紹介→

▲下紙剥がし終了。
剥がし終えた壁・天井には、クロス屋さんが不陸調整のために塗ったパテ跡が見えているはずです。パテ部分はボードのジョイントだということを知っておきましょう。後でファイバーテープを貼りますので。
6. 水性シーラー塗布(換気をして作業しましょう)
施工マニュアルでは、先にファイバーテープを貼るよう指示されています。この現場では、シーラーの乾燥を早めるため、先にシーラーを塗りました。ファイバーテープの目にシーラーがたまりますので。
▲端から塗り残しなく塗っていきます。密着力強化と吸水抑え(下地の吸水量のばらつきを低減)が目的。
床にこぼれたシーラーは早めに拭き取っておきましょう。
●アクが出るかどうかを下塗りする前に調べる方法

壁面の目立たないところに5センチほどに切ったマスキングテープを貼り付け、テープにまたがるように下塗材か仕上材を塗り、乾いた状態を観察してください。マスキングテープの上の部分にはアクは出ませんので、塗りつけた壁材が均一な色味になっていればアクは出ないと判定できます。テープの上の部分と他の部分が色味が異なっていればアクが出る下地です。

7. シーラー乾燥(夏期3時間、冬季6時間〜。塗布量や温度・湿度に左右される)
8. ファイバーテープ貼り
▲ボードのジョイント部にファイバーテープを貼ります。パテ跡をよく見るとジョイント部の位置がわかると思います。
窓・ドアなど開口部の角にも斜めに貼って補強します。
ファイバーテープは浮かないようしっかりと密着させましょう。
ほとんどのお宅の施工下地はクロス張り向きに作られているため弱く、クラックが入りやすいと言えます。ファイバーテープを貼れば100%クラック防止ができるという保証はできませんが、貼らないよりはずっとマシ。

※出隅(出っ張ったコーナー)もボードのジョイント部ですので、コーナーを作っている2面にまたがるよう折り曲げてファイバーテープを貼ります。が、グラスファイバーの弾力性で剥がれてくることがよくあります。そのときは、タッカーを打ってしっかり密着させておきましょう。

8. 下塗り(エコ・クィーン専用下塗材NGUを塗る)
▲下塗りは凸凹がないよう塗ります。下塗材には骨材が入っていますので、押さえながら塗れば、骨材ひとつ分の厚みで平らになります。手の届く範囲に塗り残しなく下塗材を押さえつけながら塗りつけた後、コテをコテ板できれいにぬぐいながら塗りつけたところをならしていけばいいのです。
塗り方のコツは日本ケイソウド建材株式会社の『珪藻土壁塗りDIY HAND BOOK』の中で紹介しています。また、「ケイソウ土塗り方教室」でも実演してご説明しています。

(この写真の現場の入隅にはファイバーテープではなく“コーナーテープ”を貼って補強しています)

9. 乾燥(暖かい季節なら翌日にはほぼ乾燥しています。トイレなど狭くて風通しの悪い場所は、数日かかります。)
古いお宅の場合、クロスを剥がした下地から黄色いアクが出てくる可能性大です。水性シーラーにアク止め効果はありません。
下塗り面にアクが出た場合、完全乾燥後に、再度下塗りをしてアクを止めます。そのときの下塗材〈NGU〉は、少し練り水の量を多めにした方が塗りやすいです。
私は、アクが出た下塗り面にシーラーを塗布して吸水を抑え、シーラー乾燥後に下塗りを行うようにしています。
10. 仕上材を塗る
天井も塗る人は、まず天井を仕上げます。

壁面を施工するときは、まず、対面する2面を仕上げ、その面が乾燥したら、入隅部をマスキングして、残りの2面を仕上げるようにすると、入隅の部分もきれいに仕上げることができます。

もどる