獅子の女王(りおんれーぬ)

 [Lion reine] フランス対特殊犯罪組織・シャッセールの若き捜査官、ルネ・カーディフ(後に獅子王の姓を併せて名乗る)を、人々は畏敬を込めてこう呼ぶ。それは彼女の猛々しく誇り高くも美しい戦いぶりからつけられた異称であるが、いつしか正式なコードネームとしても認定された。通常はありえない処置だが、それだけ彼女の戦いが鮮烈だったのだとも、気に入った当人がデスクをへこませて(どのようにしてかは想像にお任せする)上司に掛け合ったのだとも言われている。
 しかし、彼女の戦いを目にした者は等しくそれが単なる異名やコードネームではなく、彼女自身を表す言葉なのだと知るだろう。どれだけ傷つこうとも決して折れない獅子の牙のごとき強さと、決して汚されない誇り高き心の美しさを併せ持つ彼女を、他にどう呼べばいいと言うのだろうか。答えなどありはしない。故に彼女はこう呼ばれるのだ。
 獅子の女王、と―。