気付かないscapegoat
老人の目は
父親の眼差しだった
いったいどんな超人が
それを超え抜くのだろう
どの兵士にも家族がいて日常があった
ひとり一人に歴史があって個を持っているのに
その重さを
あえて量ろうとしない争い
聖戦という憎み合い
良く生きるために
それは必要だという
良く生きるために
血が必要だという
より良く生きるために
それは必要だという
目の前の息子がもう生きてはいないと
幾多の父の眼差しが
それを認めたのだろう
幾多の歴史が
それを認めないのだろう
息子を失ったどんな父親が
より良く生きられるのか
Photo by Syaraku