ぴゅう太に続いて出現したホームロボットシリーズは、ゾイドとともにTOMYの'80年代中期を牽引（けんいん）する代表的な製品です。
ロボットは無線操作ももちろん可能なのですが、あらかじめ各種の動作を登録しておき、その応用性を楽しむことに本来の醍醐味があります。食べ物・飲み物を運ばせるはもちろんのこと、内蔵カセットデッキと連動させて音楽を奏でたり、朝はモーニングコール、夜はカラオケのパートナー、はてはビデオカメラオプションによる警備システムへの応用と、おちゃめさと可能性を削りだす新しいホビーであったわけです。

市場に最初に投入されたのが、音声認識ロボットKI-KU-ZO（'83年11月）。自分だけのロボットが手に入ると話題を呼び、発売から3ヶ月で4万個も売ることになりました。このヒットに続いて投入されたのが、ここで紹介しているオムニボットです。初代機は39,800円と安い買い物ではありませんでしたが、マスコミの注目とメディア露出は大きな追い風となり、発売半年で25,000台（国内）を数えることになります。好評を背景に、ちいさな卓上型から、考え込む・謝るといったエモーショナルロボット、お掃除など専用機、99,800円もする大型機など、さまざまな兄弟も生まれていきました。

結局、年間20万台もの販売を数える人気シリーズになったのですが、膨大な開発コストを回収し採算にのせるまでにはいたらず、トミーの全社的な構造改革の影響もあって、次第に小型・低価格なラインへシフトし、2007年に大ヒットした2足歩行ロボット”アイソボット”など、現在も続くタカラトミーのロボットホビーへとつながってゆくのです。

理想と現実の狭間を行き来するホームロボットは、人の心の余裕というものというものに共振して登場してくるように思えます。それはユーザーだけではなく、メーカー側の心にもシンクロしているようですね。