ATFフィルターの交換(1)

 ATFはATの性能を発揮させる基本ベースです。
ATFは潤滑油であると同時に粘性で動力を伝達するという重要な機能を担っているからです。

ATFが劣化すると燃費の悪化や動力性能の低下を起こしますが、何よりも変速ショックと停車時のエンジン振動が大きくなります。
放置しておくとAT故障につながりますので、定期的なATF交換が必要です。
ATF交換後も不良現象の改善があまり見られない場合には、ATFフィルターの目詰まりが起きている可能性が高いので、ATFフィルターの交換・洗浄をお薦めします。

但し、ATF及びATFフィルターの交換後にAT故障を引き起こすリスクもあり、覚悟も必要です。

それでも、交換後の性能回復には目を見張るものがあります。

[判定の目安]
    ギヤ比どおりの理論スピードが出ているのか?
      CX25IE  >85   71.8km/2000rpm   107.7km/3000rpm
      CX25GTI <86   72.3km/2000rpm   109.5km/3000rpm
    我87CXは交換前後で10km/3000rpm程度の差が見られました。

CXのディラー記録では、ATFフィルター部品供給は過去1件しか記録がないそうですので、AT交換修理履歴のないCXはまずATFフィルターの目詰まりを起こしていると考えるべきです。

交換部品:
   ATFフィルター(ストレーナー)  部品番号  95 565 953    ¥2400
   カバーガスケット          部品番号  95 565 948    ¥350
   パイプシール(L) X2               96 085 783    ¥300
   パイプシール(M) X2               96 085 784    ¥210
   ATF D-U    8L

 (補足)  現在、ATFフィルター及びカバーガスケット は部品供給停止となっています。
     但し、ATFフィルターは灯油で洗浄後、再使用可能
         カバーガスケットも汎用の紙パッキン 0.5mm厚 から
         切出しで対応できます。
     アメリカでは交換セットが販売されている様です。
         http://www.jie/3hp22/3hp22.htm



作業手順
-----2日コース


 [準備作業]        

ATFの交換atf.htm

    

photo1
  • 車高をMAX.ポジションにし、車載ジャッキかスタンドを車体前方にかけておく。
  • エンジンの下の地面にダンボールを敷き、オイル受容器を用意する。
  • ATのレベル・ゲージを引きぬき、ゲージ穴周辺にボロ布を敷いておく。
photo2
  • ATオイルパン部のドレインプラグ(赤矢)を外し、ATFをオイル受容器に抜き取る(約2L位出る)。
    エンジン及びATFがまだ熱い場合には火傷に注意する。
  • ATFがドレイン穴から出なくなったら、シフトをPポジションからLポジションまで数回往復させた後、Pポジションでエンジンを始動し20〜30秒間アイドリングさせる。これでさらにATFが0.5L位出る。
photo3
  • デファレンシャル部のドレインプラグ(黄矢)も外し、ATFをオイル受容器に抜き取る(約0.5L位出る)。
  • 抜いたATFの汚れ具合をチェックしておく。
  • 各ドレイン穴からATFが抜け切ったら、各ドレインプラグを再び取りつける。




 [ハイプレシャー・ポンプ及びプレッシャー・レギュレーターの取外し作業]

 ATFフィルター交換のためにはギヤボックス・カバーを開けますが、ギヤボックス・カバーにはハイプレシャー・ポンプとプレシャー・レギュレーターが取付けられていますので、これらをまず取外さなければなりません。

  • ハイプレシャー・ポンプとプレシャー・レギュレーターを外すにはまずベルト類から外します。
    要領はベルト交換と同じです。
  • まずガードプレートを外します。
  • ベルトを外す順序の都合上、まずはエアコン・コンプレッサーのベルトから外します。
  • コンプレッサーの固定ボルト2本(赤矢)を緩めます。この時、上側のボルトとステ-との間のスペーサーが落ちてしまいますので外しておきます。
  • ボルトが緩んだらコンプレッサーを車体前方に引いてベルトを外します。
  • 次にウォーターポンプのプーリーを外します。
    5本のボルト(青矢)を外し、手前に引きます。固い時は軽くハンマーで叩きます。
  • 外す邪魔となるハイプレシャー・ポンプのステ-(黄矢)も外しておきます。
  • これでハイプレシャー・ポンプとプレシャー・レギュレーターを外すことが出来ます。プレシャー・レギュレーターのブリードスクリューを緩め、LHMの圧を抜いておきます。
  • まずハイプレシャー・ポンプに接続するLHM高圧配管(赤矢)のパイプユニオンを緩め配管を外します。
  • ハイプレシャー・ポンプを固定するボルト(青矢)を外し、ベルトも外します。
  • ハイプレシャー・ポンプからLHM供給ホースも外した方があとの作業が容易ですが、ホースが硬化していると外す際に裂ける恐れがありますので、赤太矢のようにポンプをスペア-タイヤの方に乗せておきます。プレシャー・レギュレーターのリターンホース(青矢)も同じです。
  • ハイプレシャー・ポンプからのLHM高圧配管も外します。
  • プレシャー・レギュレーターを外すには接続するLHM高圧配管類(赤矢)および配管支持ステ-類(黄矢)も全て外します。
  • 作業は左前輪を外しホイールハウスカバーも取って、ホイールハウスからアクセスすると簡単です。
  • リターンホース(赤矢)を外す際、ハイプレシャー・ポンプの供給ホースと同様、ホースが硬化していて外す時に裂ける恐れがありますので無理は禁物です。
  • 各配管が外れたらプレシャー・レギュレーターを固定するボルト(青矢)を緩めると、プレシャー・レギュレータを外すことが出来ます。
  • リターンホースが外せない場合は、ハイプレシャー・ポンプごとスペア-タイヤの上に置きます。
  • この状態になるとギヤボックスを開けることが出来る様になります。
  • 開ける前に周囲のごみや汚れを落としておかないと、ごみが混入して後々トラブルの原因になる恐れがありますので、綺麗に掃除をしておきます。

    これで準備作業が終わります。



以上の作業が終わったらいよいよフィルター交換を行います。

ATFフィルターの交換(2)



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