ATFの交換


 ATFは潤滑油であると同時に粘性で動力を伝達するという重要な機能を担っているので、ATFはATの性能を発揮する基本ベースとなります。
従って、ATFは常にベストコンデションである必要があります。
そして何よりも設計時に想定した粘度特性を常に維持していなければなりません。


 ATFの規格はオートマチック・トランスミッションの発祥地であるアメリカのGM規格DEXRONが有名です。他にFORDタイプがありますが、両者のATFは摩擦特性が相容れないので混用は禁物です。(近年はFORDタイプもMELCON規格となりDEXRONに似て来た)

 シトロエンに使われて来た(Xantiaマイナーチェンジ以前まで)ATFはDEXRONUと呼ばれるタイプですが、最近は電子制御ATに対応して94年からDEXRONVタイプが発表されて以来、世の中はDEXRONVタイプに移行し、DEXRONUタイプは市場から急速に姿を消しつつあります。
 DEXRONVタイプはDEXRONUに比べ、オイルラインの複雑化と小径化に対応して粘度が低くなっています。DEXRONVタイプは高性能化という謳い文句があるため、安易に切替がちですが粘度特性が違うので注意が必要です。


 従来、CXのATF交換を頼むと「CXはATFを交換するとATが壊れ易いので保障出来ませんよ」とか「止めたほうがいいですよ」とかいう返事が返ってくることがありました。
 確かにオートマチック・トランスミッションは精密機構部を持ち、交換時に異物が混入すると故障の原因となる事がありそうですが、精密機構部を持つが故に潤滑油であるATFは常にベストコンデションである必要があります。又、ATF交換は金属切子等の異物除去やクラッチ部の摩耗紛の除去の役目もあるわけですからATF交換は積極的に行うべきと考えます。
 ATF交換に対する消極的な態度が初期メンテナンス不足の原因となり、シトロエンのATトラブル多発の遠因になっているような気がします。

 皆さん自身の判断で実行して下さい。


不良現象 :

トラブル  : ATの作動不良により走行不能。

交換時期 : 2年程度または不良現象が著しい場合。
        (BXでは6万km毎となっている)
用意部品 : DEXRONUタイプ ATF 6リッター程度
    シトロエン社資料;
     CXーSrU   AT型式: ZF3HP22
              ATF  : TOTAL DEXTRON D20-356

    シトロ亭仕様銘柄; YACCO社  ATF D
                  FLUIDE TRANSMISSIONS
                     AUTOMATIQUES
                   MB236.6 DEXRONUD


作業手順 ------- 60分コース

photo1
  • 車高をMAX.ポジションにし、車載ジャッキかスタンドを車体前方にかけておく。
  • エンジンの下の地面にダンボールを敷き、オイル受容器を用意する。
  • ATのレベル・ゲージを引きぬき、ゲージ穴周辺にボロ布を敷いておく。
photo2
  • ATのオイルパン部のドレインプラグ(赤矢)を外し、ATFをオイル受容器に抜き取る(約2L位出る)。
    エンジンが熱い場合には火傷に注意する。
  • ATFがドレイン穴から出なくなったら、シフトをPポジションからLポジションまで数回往復させた後、Pポジションでエンジンを始動し20〜30秒間アイドリングさせる。これでさらにATFが0.5L位出る。
photo3
  • デファレンシャル部のドレインプラグ(黄矢)も外し、ATFをオイル受容器に抜き取る(約0.5L位出る)。
  • 抜いたATFの汚れ具合をチェックしておく。
  • 各ドレイン穴からATFが抜け切ったら、各ドレインプラグを再び取りつける。
photo4
  • ゲージ穴から新しいATFを2.5L補給する。
    ATFは粘度が高く入り難いので、ゲージ穴より多少細いビニールチューブと漏斗等を用意して少しづつ根気良く注入する。
    吹き返しでATFをこぼさない様に注意。
  • エンジンを始動し、60秒程アイドルリングさせた後、ゲージでオイル量をチェックし、足りない分を補充する。


fig1

   




   参考)  冷間時のレベル・チェック法    
           



ATF交換後も不良現象の改善があまり見られない場合には、ATFフィルターの目詰まりが起きている可能性が高いので、ATFフィルターの交換をお薦めします。

ATFフィルターの交換






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