平成18年9月 旭川支部定例研究会報告
テ−マ 〜長生医学のスピリチュアリティーを考える〜

大村 和彦

日 時 9月3日(日曜日) 
会 場 旭川市3条7丁目 「花月会館」
出席者 35名


スピリチュアリティーとは一体何でしょう?
日本語では「霊性」あるいは「宗教性」と訳す場合が多いようですが、言い換えると「自分はなぜ生まれ、なぜ死ぬのかという、自己の存在を理解するための答え」といえます。

哲学者でも宗教家でもない私たちが、なぜこうした問題を考えなくてはいけないのでしょう?実は、私たちの本業である健康を考える上で、この命題は世界レベルで無視する事が出来ない状況になっているのです。世界保健機構(WHO)健康の定義にも、従来の「健全な肉体」「健全な精神」「健全な社会性」に加え「健全なスピリチュアリティー」が盛り込まれようとしているのは公然の事実です。

今回の研究会は、宗教を分かりやすくをテーマに、親鸞聖人の思想を通し、長生医学の宗教性と治療者として霊肉救済とは何かを正面から考えました。

日 程 
12:00〜13:00 特別講演   真宗大谷派僧侶
演 題 「浄土真宗」〜願生浄土〜

13:15〜13:30 記念写真撮影 
「これだけは着たくなかった・・」と嘆く傘寿3点セット(帽子、チャンチャンコ、扇子)を身にまとった大村先生を中心に記念撮影。


(クリックで拡大します。88KB)

13:30〜14:30「傘寿(80歳)の大村基實先生を囲む昼食会」
出席者 30名

乾  杯  間島先生のご発声で、大村先生が出席者のために用意された祝酒で乾杯。

祝電披露

祝  辞  出席者全員から心温まるお祝いのメッセージを頂きました。

挨  拶  大村 基實  先生「おかげさまの世界」(要約)

皆さんが居るから、私が頑張らせていただけることに感謝しています。このご縁、そして患者さんから教えていただくご縁を大切にし、阿弥陀様を信じる私になるための努力を実践させていただける喜びは「おかげさまの世界は南無阿弥陀仏の世界」です。そこにもったいない世界に預かった私がいます。患者さんを治しているのではなく、治療させていただく身分になったことを感謝し、謙虚な気持ちを忘れずにいることが大切です。
たかが長生、されど長生 嗚呼もったいないこの長生

「誕生日 おかげさまです 愚身(おろかみ)に 人らしめうる 花月の集い」

万歳三唱  大村長生館第一期生 山下幸博先生の音頭で唱和し閉会となりました。


祝 傘 寿


如来 南無阿弥陀仏なりたまう この一言に助けられて     山崎有美

長生とともに歩めるご縁をえて 無事に迎えし定年のとき    倉本萬里

一日に余る仕事の 夜長には 手を合わせている 長生の師に  山崎百合

どっしりと 北の大地に齢草(よわいぐさ)          近藤俊之

齢草 風雪に耐え 八十歳(やととせ)や           近藤俊之

根分けして 北の都に 齢草                 近藤俊之

張り艶も 芯も曲がらず 基實傘               市村慎二 

まだ傘寿 一芸老楽  白寿まで               市村慎二 
             

<後記>
今回の講演会はいつになく一般参加の方が多く、会員以上に熱心に耳を傾け、メモを取る姿をお見受けしました。

浄土真宗「願生浄土」という大変難しい演題にも関わらず、僧侶は浄土真宗の自己存在の基盤となる教えを、現代的に噛み砕き、日常の言葉で分かりやすく解説して下さいました。参加者から「とても勉強になった」「分かりやすかった」「宗教に対する誤解が解けた」「今悩んでいる問題の答えが出た」などの声が聞かれ、企画してよかったとの思いを強くしています。私自身も、自分がいかに我儘に生きて来たか、自分の我執を思い知らされ、生かされているという意味をもう一度考え直してみようと思いました。

予てより、長生医学の根幹をなす親鸞聖人の思想を学ぶ機会を考えていましたが、長生医学一筋に歩まれた大村基實先生の傘寿という節目に、こうした勉強会を開催すること出来たのは、大村先生、講演者の僧侶をはじめ、参加者の皆様、遠くは知床より駆けつけてくれた諸先生、会場スタッフなど数え切れない多くの力と縁に支えられているのだと再認識することが出来ました。 

「傘寿の大村先生を囲む昼食会」は、僧侶も交え和やかに進行しました。
千葉、埼玉、長野、四国、九州などの先生から心温まる電報が届き、大村先生のお孫さんはじめ、出席者から頂いた心のこもったお祝いメッセージに、大村先生も「生涯忘れる事の出来ない会」と感激したご様子でした。果たして市村先生の「白寿(99歳)まで現役で」というメッセージに大村先生は答えることが出来るでしょうか?  合掌

日本長生医学会旭川支部  大村 和彦

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