治療における観察の価値

大村 基實

日本長生医学会北海道連合会夏季研究会より
平成17年7月4日
会場:定山渓ホテル


「治療における観察の価値」講義

長生医学において診断を正確に下すことは、治療における必要不可欠条件であり、正確な診断それだけで70〜80%の価値がある。

特に、患者との出会いから、正しい診断にいたるまでに、臨床的な病態をどのように把握し検査計画を立てるかの思考過程については、長生医学の教育を行なう初期からこのような訓練がなされなければならない必要性を強く感ずる。

○観 察
読んで字の如く、患者を客観的な立場で、注意深く詳しく見ることである。
脊椎を見る以前に、患者自身には通告せず、患者の動態をよく観察し、本能的生態活動、実動との情報収集を積極的に行ない病態を予測する。
つまり診察台で、問診、触診を行なう前から、すでに診断は始まっているのである。
診断以前のこうした試みは、鑑別と総括を的確に行ない、患者の特徴を引き出す上で非常に重要である。

  1. 立位における動態の観察
  2. 動作時における動態の観察
  3. 安静時における動態の観察

この3つの動態観察から得た情報を、平面的観点、立体的観点、展開的観点から分析し、症状と病原を推測する。

○触診
言うまでもなく、脊椎、骨盤の触診は診断の中核を提供する。

○ 筋力テスト
施療の前後には必ず筋力テスト及び機能テストを実施し、治療効果を比較確認する。

○ 伏臥位における交感神経上の刺激操作の注意点
押し付ける、揺する、スライドさせる。


伏臥位における交感神経上の刺激操作

○ 伏臥位における脊椎矯正
攻撃姿勢と保守姿勢の違い
手根部分を患部に密着、45度の角度で体重を利用する。決して力で押さぬこと。


伏臥位における脊椎矯正

手根部を患部に密着
(伏臥位における脊椎矯正)

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